映画 2009

2009年映画ベストテン

気がついたらもう1月4日。既に時期はずれの気がするけれど、まあしょうがない。

再度ぐぐったりして他に見た映画が無いか調べた結果、合計80本。内訳は

NZ:44 (うちNZ国際映画祭4)
日本:11
インフライト:25

インフライト・ムービーを映画館に加えていいかどうかは迷うところだけど、2009年公開の新作のみ入れてみた。
邦画は15本。どちらかといえば邦画派だけど、見るチャンスが少ないからしょうがない。

★の分布は
★☆☆☆☆:0
★★☆☆☆:4
★★★☆☆:42
★★★★☆:27
★★★★★:7

★1つは「途中で映画館を出る」レベルなので普通は無いとして、後はまあ順当に分布しているかな。

さて、いよいよ★4つと5つの中から、ベスト10を選んでみた。

1.母なる証明
2.カールじいさんの空飛ぶ家
3.ディア・ドクター
4.エヴァンゲリヲン 新劇場版:破
5.グラン・トリノ
6.イングロリアス・バスターズ
7.ラブリー・ボーン
8.それでも恋するバルセロナ
9.誰も守ってくれない
10.The Hangover

「母なる証明」はホント素晴らしかった。重苦しかった後半に続くラストシーンのカタルシスたるや… 韓国映画ラブ。

「カールじいさん」もよい。アニメーションでもここまで表現できる。

ウディ・アレン、タランティーノ、ピーター・ジャクソンはさすが。

邦画が多めに入っているのは多少身びいきもあるかな。でも、「ディアー・ドクター」や「誰も守ってくれない」のレベルの高さは素直に認めないと。

エヴァはお約束、10位のThe Hangoverは素晴らしくよくできたコメディーなのに、日本ではDVDスルー。残念。

今回はすごく悩ましかったので、ついでにあと10作品

ウオッチメン
チェ 39歳別れの手紙
チェンジリング
シャーロック・ホームズ
THIS IS IT
A Serious Man
ミルク
愛を読むひと
サンシャイン・クリーニング
つみきのいえ

巨匠イーストウッドは2作。ソダーバーグのチェは「英雄の挫折」に焦点が当たる後編が出色。「THIS IS IT」MJのすごさを再確認させてくれた。

「つみきのいえ」短編では近年の中でもダントツ。

今年こそは100本チャレンジ!
#ってまだ1本も見てませんが(笑)

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かいじゅうたちのいるところ:大人も楽しめる「子供向けファンタジー」

かいじゅうたちのいるところ(★★★★☆)@ Skycity Albany 日本公開は2010年1月15日

3日連続でAlbanyのシネコンに来てしまった。これが今年最後の映画。

ちなみに、現在Skycityでは学生向けにVIP Passなる会員証を発行している。入会金15ドルで1回無料、1年間の有効期間内は同行者1名まで1本10ドル(ブロックバスター、特別上映は除く)見放題となっている。みっちゃんが学生なので、しおぴーもその恩恵に預かっているというわけ。

あと、AA(日本のJAF)会員証を見せると水曜は10ドルに割引になるので、使ってみてちょ。

さて、映画について。

アメリカでベストセラーとなった絵本が元になっているけれど、この絵本自体は16ページくらいの極薄なもの。「マルコビッチの穴」のスパイク・ジョーンズ監督がそこからインスパイアされた世界を描く。

明らかに子供向けの内容になっていて、実際に観客の大半は子供連れ、というか大人だけできていたのはしおぴーたちくらい。

でも、これがしっかりと作りこんでいて、十分大人にも楽しめる作品になっている。

想像力が豊かすぎる主人公マックスが、母親とのいさかいをきっかけに家を飛び出して冒険の航海に進み、「かいじゅうたちのいるところ」にたどりつく。そこにはぬいぐるみのような三頭身のかいじゅうたちがいて、マックスは危うく食べられそうになるけれど、弁を振るって逆に王様として君臨する。

ここには乱暴者、弱虫、皮肉屋、無口などいろんなタイプのかいじゅうがいる。彼らのやることはすごく子供っぽいけれど、話すときは「大人の口調」。

かいじゅうたちはバカぢからなので、戦争ゲームをしている時に投げる泥球は木をなぎ倒してしまうし、彼らが力をあわせて作る城も「デススター?」と思わせるような、大規模建築。そんな絵的に荒唐無稽な楽しさとは裏腹に、かいじゅうたちの中での微妙な関係やいさかい、そして「よそもの」であるマックスとの関係性のほころびが丁寧に描かれる。

子供たちは単純明快なストーリーラインを楽しめるし、一緒についてきた大人たちはそこで交わされる微妙な会話の妙や言外の意味を楽しめる、という二重構造になっている。

よい作品ですな。

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ラブリー・ボーン:クライム&ファンタジーの傑作

ラブリー・ボーン(★★★★★)@ Skycity Albany 日本公開は2010年1月29日~

昨日、今日と連続で5つ★。
アカデミー賞候補の呼び声が高いのもうなづける。

ピーター・ジャクソン監督作品。似たテーストらしいのだけど、残念ながら「乙女の祈り」は未見。

14歳の少女スージーが何者かに殺され、残された家族がその犯人をあばいていく、というクライム・サスペンスに上手にファンタジー要素を加えている。

スージーは死んだ後、現世に強い思いが残っていたために天国に至らず、

はざまの世界:in between

にとどまることになった。

そのはざまの世界が、CGを駆使して素晴らし丁寧に描かれている。原作となった小説は未読だけど、どんな荒唐無稽な描写だろうと、イマジネーションをふくらませればきっちり映像化できる時代になったんだなあ、と実感。

特に印象に残ったのはボトルシップのシーン。ボトルシップたちが波間に浮かび、浜辺に打ち寄せる様は本当に美しい。

単なる勧善懲悪劇ではない、14歳の少女が夢見る世界を美しく映像化した、ファンタジー色の強い作品。

ピーター・ジャクソン、やるなあ。

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シャーロック・ホームズ:女性のハートをわしづかみ、の良質エンタテイメント

シャーロック・ホームズ(★★★★★)@Skycity Albany 日本公開は2010年3月

あら、こんな年末に5つ★が出ちゃった。それだけ面白かったからなあ。

非常によくできたエンタテイメント作品。シャーロック・ホームズとワトソン医師のコンビが19世紀末のロンドン市街を舞台にオカルトチックな事件解決のため奔走する。

アクションあり、サスペンスあり、オカルトあり、そしてもちろんミステリー&謎解きもあり。ただし、お色気だけは少なめで、全体的に男オトコしている。

メインターゲットは明らかに女性。ホームズ演じるロバート・ダウニー Jrが肉体派担当で上半身裸のサービスショットがてんこ盛り。ワトスン医師のジュード・ロウは知性派担当として、裸は無いけど抑制の効いた演技がシビれる感じ。

探偵物ってアームチェア・ディテクティブを典型に静的なイメージがあるけど、この作品や「天使と悪魔」みたいに、アクション要素をふんだんに入れるのがイマドキの流行なんだろう。「天使と悪魔」はイマイチだったけど、今作は良い方向に出てます。

日本でも人気出るんじゃないかなあ。

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2009年に見た映画

k-tanakaくんもベスト10を発表したことだし、そろそろ今年見た映画の総括をしよう。
この後でも何作か見ることになると思うので、ベストテンはもう少し後で。

今までのところ、映画館もしくはインフライトムービーで見た新作は72本。
一応年間100本が目標だけど、最近は達成できてない。
今年は特にインフライトムービーが20本と2割を超えたのが特徴。
たくさん旅行したし、メインで使ったair NZで大量にオンデマンド提供してくれたのが役立っている。

5つ星は以下5作品

・それでも恋するバルセロナ
・つみきのいえ
・エヴァンゲリヲン 新劇場版:破
・カールじいさんの空飛ぶ家
・母なる証明

どれもよかったなあ。
特に「つみきのいえ」は小品とはいえ素晴らしかった。
「母なる証明」はk-tanakaくんベストワンでしたな。

4つ星は以下23作品

・007 慰めの報酬
・グラン・トリノ
・スラムドッグ$ミリオネア
・チェンジリング
・ミルク
・そんな彼なら捨てちゃえば
・ウオッチメン
・ワルキューレ
・ヤッターマン
・おっぱいバレー
・The Hangover
・ハゲタカ
・誰も守ってくれない
・サンシャイン・クリーニング
・スカイ・クロラ
・ディア・ドクター
・イングロリアス・バスターズ
・THIS IS IT
・空気人形
・A Serious Man
・チェ 39歳別れの手紙
・インフォーマント!
・梨泰院殺人事件
・築城せよ!

なんでこれに4つ星をつけたんだろう、と思うような作品もあるけど、まあいいや。

「The Hangover」は日本ではDVDっスルーとのこと。面白かったのに、残念ですな。
「THIS IS IT」はマイケル・ジャクソンのすごさを再確認できて、よかった。
「築城せよ!」は冒頭のダメダメさ加減がすごくうまくいった、稀有な例。

ダントツでダメだったのは
・ノウイング

「人類滅亡の危機」というマクロな話と「家族の絆」というミクロな話を無理やりつなげるのは、ハリウッドの常套手段だけど、もう少しマシなやり方があったでしょ。

あと、「ホノカアボーイ」もダメ。「かもめ食堂」、「めがね」あたりのユルユル路線を狙ったと思うけど、

「狙いすぎて大きく外れたボール球」

みたいな感じ。

もう少し漏れもありそうなので、きちんと整理してからベスト10を発表します~

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築城せよ!:期待しないで見た分、結構面白かった

築城せよ!(★★★★☆)@Singapore Air機内 日本では公開終了、DVD発売中

HPで知ったのだけど、この映画、愛知工業大学の50周年記念事業だったんだ。

作りは意図的にチープにしている。そりゃそうだ。後で「ダンボールの城」が出てくるんだから、重厚な戦国タイムスリップもの(戦国自衛隊とか?あれはタイムスリップの方向が逆だけど)みたいにしていたら、釣り合いが取れない。

演技も江守徹とかすごくワザとらしいし、主人公(特に冒頭シーン)やヒロインもまあ学芸会レベル。

あまりにチープなので、本気で途中で見るのをやめようと思ったのだけど、続けておいてよかった。

戦国タイムスリップものと思わせておいて、実はそんなことはなく、しおぴーの大好きな教養小説系だった。

己の未熟さゆえに落城の悲運を味わった殿様と、旧態依然とした棟梁の父への反発から現代建築を志すものの、本気になれないヒロイン。

どちらも、建築そのものとしても、見た目としても全くありえない、

「ダンボールの城を築城する」

ことで成長していく。

過疎化で人口が減少し、絆を失いつつあった猿投町の人々も、築城に協力していくうちに地域としての一体感が芽生えてくる。

困難を克服し、不可能を可能にし、自分自身も成長する

そんな教養小説の王道のような映画。

期待が低かった分、かさ上げされたところはあるけれど、それでも十分楽しめた。

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「インフォーマント!」ロクでもない内部告発者をマット・デイモンが好演

インフォーマント!(★★★★☆)@ RIALTO Newmarket 日本でも公開中

偶然ソダーバーグ監督の作品が同じRIALTOで上映されていたので、CHEつながりで観てみた。

ハリウッド作品にしては珍しくオフィシャルサイトがチープな造り。興収が厳しそうだから予算がつかなかったのかな?本家英語サイトはちゃんとしているんだけど。

マット・デイモン扮する内部告発者がホントいい加減で、良い味だしてる。

内部告発者=正義の味方

という固定概念を見事に打ち破ってくれる、よい映画。

でも、なぜ彼がFBIに内部告発をしてしまったのかが、本当に不思議。だって自分に調査の手が伸びれば、自分の首を絞めてしまうのだから。

「自分の犯した罪は大したことない」

という過信からか?それとも、単なるオバカ?

他人の心情を慮(おもんぱか)る能力に欠けている感はあるから、それが一番の理由かなあ。

「人は感情で動く」

からねえ。

「天網恢々疎にして漏らさず」

でした。

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「An Education」少女の背伸びした初恋

An Education(★★☆☆☆) @ Bridgeway 日本公開は???

すごくありがちな

「多感な少女が背伸びした恋をする」

お話。

1960年代、ロンドン。オックスフォードを目指す主人公が偶然出会ったお金持ちの男性と恋に落ちて

「自分が今まで知らなかった世界」

を知り、退屈な日常から抜けだそうとする。彼の裏の部分を知りつつ、惹かれていき、ついには婚約までするが…

ストーリーもありがちだし、登場人物にもあまり厚みは感じられない。

それよりもなによりも、この程度のブリティッシュ・イングリッシュが聞き取れないことに非常に危機感を覚えた。ちゃんと英語は勉強し続けないと…

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「チェ 28歳の革命|39歳別れの手紙」後編は痛恨の極み

チェ 28歳の革命|39歳別れの手紙(★★★★☆)@ RIALTO Newmarket 日本では公開終了

NZ国際映画祭にも出品されていた、ソダーバーグ監督作品。2部構成になっており、1本通常15-16ドルなのが、通しで観ると20ドルと割引になる。

大半はスペイン語+英語字幕で、時々挿入される、チェへのインタビュー部分だけが英語になる。この切替が結構頻繁なため、字幕を読むのか、それとも英語を聞くのかが混乱して追えなくなることがしばしば。少しでも字幕を減らすための工夫なんだろうけれど、英語を母語としないものには迷惑な話。どちらかに統一してくれ~

前編はキューバ革命成功まで。チェが最前線の指揮官として部隊を率いていたことがよくわかる。

後編はキューバでの成功を南米諸国にもたらそうとボリビアに潜入、しかし人民の支持を得られずに革命の企図は失敗に終わる。

映画にもあったけれど、革命を起こすというのはそれだけで「狂気の沙汰」に違いない。そんなことをアルゼンチン人のチェがわざわざキューバに命をかけて渡航して実現、そののちさらに別の革命をボリビアで起こそうとする。

そこまでの情熱を持ち続けたチェに対しては、強い畏敬の念を感じずにはいられない。

しかし、後編は正直見るのがつらかった。ボリビアで革命を起こそうとするものの、外国人として最後まで人民に信頼されず、孤立したまま山中をさまよい、仲間を徐々に失い、ついには捕縛、殺害される。

心をうつ映画ではあるけれど、気持ちは晴れない。

閑話休題

亀井静香がチェ・ゲバラを尊敬しているというのは、最近よく知られるようになった。事務所にはチェのポスターが貼られているそうな。そんな彼をこのまま金融担当相にしておくのは、非常に危険だと思う。

「地獄への道は善意で敷き詰められている」

にある通り、彼は彼の信念にのっとって「弱者救済」のためにモラトリアム法などを推進している。でもそれは、結果として日本を没落させ、国民をより不幸にさせることになる。誰か亀の首に鈴をつけてくれ~

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「キャピタリズム マネーは踊る」アジテートだけの映画なら、もういらない

キャピタリズム マネーは踊る(★★★☆☆)@Rialto New Market 日本では09/12/5より順次公開

希代のアジテータ、マイケル・ムーア最新作。

昨今、サブプライム狂想曲を始めとする

「強欲な資本主義」

がアメリカではびこり、貧富の差が拡大、多くの中産階級が没落し、ワーキングプアもしくは失業者となった。

それを矯正するために「資本主義」そのものをもうヤメちまえ、というのが今回のネタ。

資本主義に欠陥があるのはその通り。でも、そうはいっても

「社会主義がクール」

とか

「コーポラティブ(協同組合)なら全てうまくいく」

というのはナイーブすぎる。

さらに、日本や欧米が「格差」という点で比較的マシというのは事実だろうけれど、

日本であれば自殺率世界最高レベルに象徴される「経済回って社会回らず」の状態だし、

欧州であればEU統合による民族主義の高まりからくる社会不安など、それぞれに問題を抱えている。

「最悪」から見れば「悪い」や「ボチボチ」はまだマシかもしれないけれど、それらは決して美化するべきものぢゃないでしょ。

もちろんそんなことはマイケル・ムーアは百も承知していて、しかしとりあえず現状を打破するために、欧州・日本を

「目に見える、目指すべき目標」

として美化したうえで描いているのだろう。でも、その手法が行きすぎるとちょっと鼻につく。

あと、オバマを「革命」の象徴として描いているところも、すごくナイーブな気がした。もちろん、彼は彼なりに努力をして「強欲な資本主義」を改善していくのだろうけれど、一直線に「社会主義」や「協同生産方式」には行かないに決まっている。

思い切り現状を否定するなら、合わせて「現実的な提案」もしてくれ~、という感じ。

ボウリング・フォー・コロンバインの時は「銃反対」をアジテートしつつ、きっちり映画としても成立していたのだけど、最近の作品は極端なカリカチュアライズだけが多少笑えるだけで、エンターテイメントとしてはイマイチ。

そう、「銃をなくせ」というのはアジテートだけで成立するけれど、「資本主義をなくせ」は代案無しでは成立しないし、そもそもそんなことは無理。現状改善を目指すなら、資本主義という「弱肉強食」の環境をいかに和らげ、「最大多数の最大幸福」を追求するか、というテクニカルな問題に焦点を当てるべき。

宮台真司風に言わせれば「カタルシスはあるけれど、出口(解決策)はない」作品

それでも、終了時には観客から拍手があった。Kiwiはアメリカ嫌いで知られているので、これだけ現状をアメリカをこき下ろしていれば溜飲が下がるということなんだろう。

あと、マイケル・ムーアが映画の度にどんどんデブっていた件については、今回一応歯止めがかかった様子。このまま行ったらどうなるのか心配していたので、その点はよかったよ(笑)

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