¦書評 2006-07

ヤバい経済学

ヤバい経済学 増補改訂版(スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー 東洋経済新報社 2100円)


これは前回アマゾンで買ったやつ。統計・分析を駆使して社会現象のホントのところをあばく。
#経済学というよりは、統計学的手法を使った社会学の気もする。

不動産屋のウソ、相撲の八百長、マフィアの経済学、などなど。

一番印象深く、感心したのは

「90年代にアメリカで犯罪が激減した理由」

ジュリアーニNY市長の「割れ窓理論」に基づく数々の対策は実はほとんど効果が無かったこと、そして最大の貢献は誰も想像もしなかった「中絶合法化」だったこと、が理論的に説明されている。

「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないけれど、その理路には激しく納得。詳細はぜひ読んでちょ。

他にも「子育て」には何が一番影響するか、とういのもおもしろかった。既読のスティーヴン・ピンカー「人間の本性を考える 心は『空白の石版』か」でも、

「子供に何を教育するか」

はほとんど関係ない、ということが紹介されていたけれど、ここでも同様のことが披露されている。教育の中身より、

「どんな親なのか(教育水準が高い、裕福、社交的などなど)」

が徹底的に重要と言うこと。

こういう本は読んでて面白いんだよね。訳もかなりこなれていてよいのでは。

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文明崩壊

上下2巻、800ページ超の長編ノンフィクション。イースター島やグリーンランドなど12の社会が環境問題でいかに滅びていったかを詳細に分析し、そこに存在する共通の法則を描き出す。

特に、森林資源の問題、つまり再生可能なはずの森林資源をそのキャパシティを超えて伐採し、根こそぎにしてしまい、結果社会を崩壊に導くというのは、ほとんどの例にあてはまっている。(農地、水産資源も同様)

石油、石炭、天然ガスといった化石燃料が枯渇してしまうことも当然ながら大きな問題で、どちらかというとこちらにフォーカスが当たりがち。この問題が技術で改善できる、もしくはそう思えるからだろう。ビジネスになるのであれば、営利企業は投資を惜しまないし、解決策は見えてくる可能性が高い。

しかし、実は本当にサステイナブル(持続可能性)を維持するためには、森林、水産資源といった

「再生可能な資源」

を「共有地の悲劇」(個々のプレイヤーが自分の利益を最大化しようとして、結果全体最適ではなくなってしまうこと)が起きないよういかにうまく管理することも、同じかそれ以上に大事。

こちらは技術ではなく「政治」で解決すべき問題。それぞれの国が国内問題をいかにうまくさばいたとしても、さらに主権国家同士の利害対立をいかにコントロールできるかにかかっている。

知的刺激を味わうのに最適な良書。

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