2007/07/02

積読(つんどく)

日本の本屋が無いニュージーランドで本不足に直面していた(といってもアマゾンで月イチ買ってはいたのだけど)ためか、日本に帰ってきてからアマゾン・リアル書店でドカドカ本を買っている。先週なんかアマゾンから宅配便が3回計5冊も届く始末。

週末にそれなりにまとめ読みはしているものの、気づくと20冊くらいが積読(つんどく)状態。

特に分厚いハードカバーが後回しになっている。

旅行に行けば行き帰りにたくさん読むので、それに期待というとこかなあ。
#7月中旬に京都に行く予定です。

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2006/09/03

ヤバい経済学

ヤバい経済学(スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー 東洋経済新報社 1800円)

これは前回アマゾンで買ったやつ。統計・分析を駆使して社会現象のホントのところをあばく。
#経済学というよりは、統計学的手法を使った社会学の気もする。

不動産屋のウソ、相撲の八百長、マフィアの経済学、などなど。

一番印象深く、感心したのは

「90年代にアメリカで犯罪が激減した理由」

ジュリアーニNY市長の「割れ窓理論」に基づく数々の対策は実はほとんど効果が無かったこと、そして最大の貢献は誰も想像もしなかった「中絶合法化」だったこと、が理論的に説明されている。

「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないけれど、その理路には激しく納得。詳細はぜひ読んでちょ。

他にも「子育て」には何が一番影響するか、とういのもおもしろかった。既読のスティーヴン・ピンカー「人間の本性を考える 心は『空白の石版』か」でも、

「子供に何を教育するか」

はほとんど関係ない、ということが紹介されていたけれど、ここでも同様のことが披露されている。教育の中身より、

「どんな親なのか(教育水準が高い、裕福、社交的などなど)」

が徹底的に重要と言うこと。

こういう本は読んでて面白いんだよね。訳もかなりこなれていてよいのでは。

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2006/08/02

Amazon第二弾

先週注文した、amazon第二弾が昨日デリバリーされた。注文したのが26日、受け取ったのが1日なので6日で届いたことになる。

実は前日に届いていたのだけど不在で受け取れなかったので、それを考えるとわずか5日で到着。優秀だねえ。

今回は、料理系、photoshop, css、英語ライティング本などの実用本を中心に、でもやはり内田樹対談本やノンフィクションを組み合わせて計13冊20000円弱に送料6600円。

こんな日本の本屋もないニュージーランドで、わずか5日後にたった3割増で買えるんだから、文句は無い。

ありがと~、amazon。

というわけで、また週末は内田樹三昧かな。

今度は雑誌も買ってみようっと。

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2006/07/17

内田樹

内田樹(うちだ・たつる)がイイ。

NZに来た時に持ってきた本の中で、「知に働けば蔵が建つ」を最初に読み、久しぶりに知的好奇心をそそられる著者に出会った感じがした。

続いて、アマゾンで購入した「街場のアメリカ論」、「健全な肉体に狂気は宿る」(春日武彦との共著)を立て続けに読み、現在は「態度が悪くてすみません」に取りかかっているところ。

自分の書くことを含め全ての言説に対して疑念を持つこと、というのは非常に正しい態度。また、中庸を是とし、極端な二元論を排するところもよろし。

空間だけでなく時間感覚を大切にし、機が熟すまでは

「現状維持、先送りOK」

なんてセリフは、よほどの覚悟がないと、今時なかなか言えません。

いろんな意味で、目からウロコがうれしい。

ただ、宮台真司のように、ほぼ全てに首肯できるわけではなく、所々我田引水で論理展開が強引なところがある。ただ、それについてもちゃんと事前に「人の意見を無条件に信用するな」と言っているところは、好感が持てる。

以下、アマゾンのad senseライクなwebサービス。ちゃんと内田樹関連の表示がされるかな?
#原稿を書いている最中は、全然関係ない本しか出なかったんだけど。

※試してみたところ、トップページで開くとやっぱりダメなので、下側にある[固定リンク]から入ってみてくださいな。そしたら、内田樹の著書が出てきます。


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2006/03/05

文明崩壊

上下2巻、800ページ超の長編ノンフィクション。イースター島やグリーンランドなど12の社会が環境問題でいかに滅びていったかを詳細に分析し、そこに存在する共通の法則を描き出す。

特に、森林資源の問題、つまり再生可能なはずの森林資源をそのキャパシティを超えて伐採し、根こそぎにしてしまい、結果社会を崩壊に導くというのは、ほとんどの例にあてはまっている。(農地、水産資源も同様)

石油、石炭、天然ガスといった化石燃料が枯渇してしまうことも当然ながら大きな問題で、どちらかというとこちらにフォーカスが当たりがち。この問題が技術で改善できる、もしくはそう思えるからだろう。ビジネスになるのであれば、営利企業は投資を惜しまないし、解決策は見えてくる可能性が高い。

しかし、実は本当にサステイナブル(持続可能性)を維持するためには、森林、水産資源といった

「再生可能な資源」

を「共有地の悲劇」(個々のプレイヤーが自分の利益を最大化しようとして、結果全体最適ではなくなってしまうこと)が起きないよういかにうまく管理することも、同じかそれ以上に大事。

こちらは技術ではなく「政治」で解決すべき問題。それぞれの国が国内問題をいかにうまくさばいたとしても、さらに主権国家同士の利害対立をいかにコントロールできるかにかかっている。

知的刺激を味わうのに最適な良書。

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2005/11/22

渋谷ではたらく社長の告白

渋谷ではたらく社長の告白(藤田晋 アメーバグックス 1600円)

なんというか、発売から半年以上たって、こんな本を読むのもどうかと思いつつ。でも、奥菜恵と離婚した後ということもあり、それはそれでものさみしげな感じも醸し出されたり。

前半は強気一辺倒。上場後の株価暴落あたりは、逆に弱気ばっかりと極端な対照をなしている。

印象的なのは、経営方針をコロコロと変えていること。

彼が成功したのは、死にそうに働いたこともそうかもしれないけれど、

「これの方がいい」

と思ったら、即そちらに切り替える変わり身の早さが、ネットバブルを生き残れた秘訣なのでは。

特に、友人・同僚・従業員に対して一度約束したことを違える事に対し、もちろん罪悪感を感じながらだけれども、きっちりと切っていくあたりは、非常に思い切りの良さを感じさせる。

「うまく時流に乗っただけ」

などと彼を批判するのは簡単だけど、きっちりビジネスとして成功しているところは、ちゃんと認めてあげるべきでは。

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パチンコ30兆円の闇

パチンコ30兆円の闇(溝口敦 小学館 1400円)

パチンコは日本最大のレジャー産業であり、30兆円という途方もない規模の業界となっている。本書でも比較している通り、自動車業界41兆円、医療30兆円と比べてみると、その大きさがわかる。

しかし、その業界は

「賭博であるけれど賭博ではない」

という、法律のグレーゾーンに属し、そのため警察や暴力団の利権の温床となり、かつ犯罪集団の跳梁跋扈する闇を抱えることとなる。

パチンコは大学1年の時にちょっとだけやって、確か3回目に大当たりで1万円弱を稼いだところでやめてしまった。
#当時はハネもの、かつ確変などないので、かわいいもんだった。
なので、パチンコの生涯収支がプラス、というのは自慢していいかもしれない(笑)。

海外のカジノと比べ、透明性が格段に落ち、かつ換金率も異常に悪いパチンコがここまで大きくなったのは、射幸性をあおるマシンを、パッキーカードなどの利権獲得と引き替えに次々と導入していった警察にその責任がある。

売上高は高水準を保っているが、実はパチンコ人口は減少している。マニアが増えて裾野が狭まる、という危機的な状況に成りつつある。

本書では、

パチンコ法の策定と換金の適法化により透明性をアップし、かつ射幸性の高いCR機などを規制することにより、健全な娯楽としてのパチンコ再生を提案している。

実効性はあると思うが、警察が利権を手放すかどうかにかかっている。

小泉さん、これが実現できれば、見直すんだけどね。

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2005/11/12

ダライ・ラマに恋をして

ダライ・ラマに恋をして(たかのてるこ 幻冬舎 1400円)

いつものように直情径行、思ったら即行動のたかのてるこが、失恋をきっかけにダライ・ラマに会いに行こうと決意し、実際に実現しちゃう、というお話。

といっても、途中インドにありチベット系住民の多いラダックに滞在し、地元の人たちからチベット仏教を学んでいくあたりが過半を占める。

多くのチベット仏教徒は、祈るときに自分の幸せではなく

「世界が平和になりますように」

「人々が平穏に生きられますように」

とより高い視点から祈る、という話は興味深い。ブックオフでダライ・ラマの本を手に入れたので、後でチェックしてみよう。

ラストのダライ・ラマの対話で印象に残ったのは

「生きる目的は?」

との質問に対し、

「『幸せに存在すること』そのものが、生きる目的だ」

という回答をしたこと。

何かを成し遂げることではなく、ただ「よく生きる」ことが目的、というのは非常に納得がいく。宮崎哲弥などが言う通り、他の宗教と仏教はちょっと違うのかもしれない。

この本に出てくるチベット仏教徒の一人も、

「仏教は宗教ではなく哲学だ」

と言っていた。ちょっと勉強してみるかな。

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全ての装備を知恵に置き換えること

全ての装備を知恵に置き換えること(石川直樹 晶文社 1600円)

世界7大陸最高峰最年少登頂記録を更新した、若き冒険家石川直樹のエッセイ

登山、極地行、潜水、飛行…

彼は、興味の赴くところ、様々な冒険を試みる。その際、

「なるべく装備をせず、自然に直接対峙する」

ことを追求する。

つまり、潜水なら素潜りだし、極地であれば犬ぞりを使い、飛行する場合も気球を使う。

もちろん、難易度は格段に高くなる。

しかし、GPS、ジェットエンジン、特殊潜水ギアなどの様々な機器のサポートを得て冒険を成し遂げることと、身ひとつで達成することの重みも、また大きく違う。

気持ちの部分では非常に共感。ただし、実践は無理だけど(笑)。

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香田証生さんはなぜ殺されたのか

香田証生さんはなぜ殺されたのか(下川裕治 新潮社)

著者は「貧乏旅行作家」として有名で、今まで主にアジアの旅行記を書いていた。なのに、今回はかなり毛色が変わった社会派素材を取り上げている。本屋で見つけて購入。

この本で取り上げられた香田さんがバグダッドで殺され、もう1年がたった。彼の少し前、3人が人質となった時の「自己責任論」大合唱と比べると、

「判断力の無い若者がムチャをして」

という、つきはなした感じの論調が多かった。実際に彼が殺されてからも、

「危険な地域に行ったのだから、死んでも自業自得」

という感じだった。

当たり前のことだけど、国家は国民を守る義務がある。国外において自国民が危険にさらされたなら、国家は最大限の努力を払い、救出の努力をしなくてはいけない。そのために国民は税金を払っているのだから。そんな大原則が無視され、

「救出のために税金を使うことの是非」

が議論される、というのは、明らかにいびつでゆがんだ状況。
#問題が解決した後に、「救出にかかった費用」の一部もしくは全部を当事者に負担してもらうことは、状況によりありえる。でも、少なくとも救出の際は緊急性の高さが自明なのだから、棚上げすべき話。

著者はそんな「自己責任論」に違和感を覚え、ニュージーランドからイスラエル、そしてイラク国境と、香田さんのたどった道筋をたどりながら

「なぜ彼はイラクに行こうとしたのか」

を考える。当然ながら自分の体験から導き出した推測のたぐいも多く、正当派事件ノンフィクションとは言い難いけれど、

「バックパッカー」

の視点から、あの事件を再構築し、解説している。途中、タイやバングラディシュなどでの自分の体験を描く部分がちょっとダルかったかな。

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2005/11/08

国家の自縛

国家の自縛(佐藤優 産経新聞社 1500円)

今週のAERA「現代の肖像」は、この本の著者、佐藤優。吉田司がインタビュアーなのがちと気に入らないが(笑)。

未だ控訴中の刑事被告人ではあるけれど、前作「国家の罠」はその卓越した情報収集力と徹底したプロ根性により各所で絶賛され、名誉回復著しい。同朋、鈴木宗男も衆院選で復活し、ご同慶の至り(笑)。

インタビュー形式のこの本、聞き手の産経新聞社斎藤勉が自らあとがきで述べているように

「国家の罠」の背景を知るサプリ

として提供されている。

佐藤優に興味があるなら、まずは「国家の罠」を読むべし。

で、その後でこの本を読むと、著者の思想背景となった同志社大学時代の話とか、前作では語られることのなかったネオコンなどについての話がより楽しめる。

佐藤優・鈴木宗男コンビの主張してきた公平配分モデル(平等主義)と、小泉改革が推進する新自由主義モデル(弱肉強食)。どちらに与するかというと、実は後者なのだけど、前者の要素(セーフティネット)は社会のセキュリティを担保するためにも必要。いかに両者を差配するかが肝要と強く再確認。

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2005/11/07

阿片王

最近、やっと本を読むようになってきた。がんばってエントリーもせねば。

阿片王(佐野眞一 新潮社 1800円)

満州で阿片売買を仕切り、巨額の資金を得ていた謎に包まれた人物、里見甫を描くノンフィクション。といっても、後半は愛人(?)の梅村淳とその母親梅村うたに焦点があてられていたが。

佐野眞一は、ノンフィクションという仮面をまといながら

「情」

を描くことが多いように感じる。

資料を当たり、地をはうように取材をし、関係者にインタビューを敢行してまずは

「事実(と思われるモノ)」

をつかむ。そして、大胆な推理を交えて事件にまつわるストーリーを

「彼は、(事実から推測すると)こういう人間だから、こう思ったに違いない」

のようなスタイルで

「人の情」

をベースに構築する。

個人的には、こういうスタイルは好きにはなれない。

彼がどう思ったか、というのは言ってしまえばどうでもよくて、

「何が起きたのか。それは、なぜか。」

を追求して欲しい。全ての理由を人の感情に帰結させるのは、安易な解決法の気がしている。

この手法はうまくいくと、ダイエー中内社長を描いた「カリスマ」のような傑作になるのだけど、全てが佐野眞一の理解できるロジックで行動しているわけではない。

今回は、60年以上も前の話ということもあり、主人公里見甫の心中まではとても描くことができなかった。だから、後半愛人の描写などに終始したのかなあ、と思ったり。

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高野秀行の本

異国トーキョー漂流記を読み、著者の高野秀行の破天荒さが気に入った。

で、久々に彼の本を片っ端から購入して読む、「著者全作品読み」をやってみた。

面白かったのはやっぱり純粋冒険モノ。特に「ムベンベ」はいい。「西南シルクロード」は、ちょうど読了した日にテレビ東京でカチン民族のドキュメンタリーをやっていて、あわせて楽しく見た。

自分にはこんな旅はできないので、彼にがむばって「辺境」を旅してもらい、その旅行記を読ませてもらいたいと思う。

高野秀行オフィシャルサイト

実はこの土曜日に彼が出るイベントがあったんだけど、先約があったので行かなかった。今激しく後悔中。やっぱ行くべきだったなあ。次回は、ぜひ。

「辺境ライター」の真骨頂。今や現地の人ですら車を使うのに、密林のミャンマー北部を(やむなく)徒歩で踏破。その行き当たりばったり性も驚愕に値する。

アフリカ中部、探検家ですら躊躇するような未開の地に「幻の怪獣」を探しに赴く。著者はその時まだ大学生。スケールでかい~。

大学から11年間住んだ早稲田のボロアパートにまつわる小ネタ話。こういうエッセイっぽいのもちゃんと読ませるのは、文章がうまい証拠。

部外者がほとんど入ったことの無かったビルマ北部に半年滞在し、阿片の種まきから刈り取り、精製までを自ら試す。阿片中毒になるというおまけまでつけるあたりが、彼らしいのだけど。

アマゾンを河口から源流まで遡る旅。これも、大学生の時の作品。元々「地球の歩き方」アマゾン編として依頼されたのに、できあがってみたらまるで旅行記になっていて、しょうがないから「地球の歩き方・紀行編」として1冊だけ発行された、という掟破りの本。

インド、アフリカ、タイ、ビルマ、中国などの中編旅行記を集めたもの。

タイについての小ネタ本。

最新作。これはちょっと手抜きだったかなあ。文字数異常に少ないし、珍しくやっつけ仕事な気が。

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2005/08/29

異国トーキョー漂流記

バス旅行の帰り、渋滞で6時間もかかったけれど、一つ良いこともあった。

渋滞中に好きな漫画家、深谷陽のHPで紹介されていた、

異国トーキョー漂流記(高野秀行:集英社文庫)

を読了できたこと。

この筆者、かなり世界を渡り歩いていて、「辺境ライター」と自称するほどそれら辺境モノの著作が多い。でも、この文庫書き下ろしは視点を変えて、

「東京に来た変な外国人」

を紹介している。

暗黒舞踏に目覚めたフランス人、「日本のマイケルジャクソン」を目指すコンゴ人、日系三世を自称するペルー人などなど。

彼ら彼女らのトンデモな行動そのものも面白いし、そもそも著者自身が

「川口浩探検隊に本気であこがれてアマゾンを目指す」

ようなトンデモが入った人なので、相乗効果で面白い。

そもそも旅行記は自分の価値観と滞在先に住む人々の価値観という、「異文化」のぶつかる瞬間が面白い。そういった意味では、この本は東京の話ではあるけれど、旅行記と言ってもいいのかもしれない。

バックパッカーをしていた10年くらい前、下川裕治・蔵前仁一に代表される貧乏旅行記を一時期読みまくっていた。そうそう、アジアン・ジャパニーズなんていうパチもんもあった。いつの間にかネットで普通のホテルを予約するようになり、ビンボー旅行をする機会が無くなったら、とたんにビンボー紀行文も読まなくなった。

でも、異文化とぶつかること、自分の価値観をゆさぶられることって絶対に大事。仕事の関係上長い休みを取りづらい今日このごろだから、その分こんな本を読んで、カルチャーギャップを感じるのもいい。

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2005/08/21

戦争の話を聞かせてくれませんか

戦争の話を聞かせてくれませんか(佐賀純一 新潮文庫)

戦争に関わった14名(兵士だけではなく、軍属、従軍看護婦、空襲を受けた人などもいる)からの聞き書き集。

市井の人たちの戦争観がよくわかる。多くの人は、やはり開戦時には

「ABCD包囲網、ハルノートなどで痛めつけられたアメリカに対し、一矢報いてやる」

と血気盛んだったのが、戦況が悪化するに従い、

「本当に勝てるのだろうか」

と疑問に思い、終戦を迎えて

「もう戦争をしなくてすむと、ほっとした」

となる。

印象的だったのは潜水艦の機関員だった人の話。捕虜を虐待したかどで戦犯として裁判を受けてみたら、ちゃんと厚遇していたという証言が得られ、即自由の身になり、あまつさえお金やタバコももらえた、という話。東京裁判でもこういう話があったんだ、と感心した次第。

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「特攻」と日本人

保阪氏の戦争物新書2冊目。

「特攻」と日本人(講談社現代新書)

3年くらい前になるが、鹿児島県知覧にある「知覧特攻平和会館」に行ったことがある。特攻の歴史についての解説や、実物の零戦、宿舎跡地など特攻に関する資料を集めたところなのだけど、何と言っても入場者が一番関心を持つのは

「特攻隊員の遺書」

だ。僕も何通も何通も読んだ。内容は人それぞれで、

「お国のために見事敵艦を撃沈します」

といった勇壮なものから

「お母さん、お元気で。妹・弟をよろしく」

といった家族に関するものまで様々だったが、

「これから”特攻”という理不尽な作戦で死にゆく人」

が、検閲を気にしながら何とか本音を書こうとした情景が想像でき、涙を抑えることができなかった。

この本は、「きけわだつみのこえ」他の特攻隊員の遺書を多く紹介しつつ、なぜ、「特攻」という理外の理、外道の作戦が誕生したのか、軍部の情勢判断を交えて解き明かしてくれる。同時に、特攻隊員たちが特攻部隊に選抜されてから訓練を実施、そして多くの隊員を見送った後に最後に自分が飛び立つまでの心情の変化を、残された手紙から「推理」している。

著者の立場は一貫して

決して”特攻”という作戦、そして死んでいった特攻隊員たちを美化してはならないし、逆に、「時代という大きな波にもまれ、数奇な運命から特攻隊員になった」彼らを「犬死に」と蔑んではならない

となっている。その通り。責任を帰すべきは軍部であり、隊員達は犠牲者だ。

ただ、個人的には特攻隊員の心情を過剰に推理しすぎているきらいはある。保阪氏がどう思おうが勝手ではあるが、

「彼は(好戦的に)こう書いているけれど、実際には葛藤があった」

とか(87ページ掲載の遺書)、彼の希望的観測がかなり入っている感は否めない。

「ノンフィクションはかくあるべし」

というルールがあるわけではないけれど、個人的にはこのような主観的な判断は好きではない。
#…だと思う、と自分の意見を述べるのではなく、断言しているところがどうかと思っている。

でも、特攻についてあまり知らない人が読むのには、かなり事実-心情、どちらにも根ざした入門書だと思う。

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あの戦争は何だったのか

保阪正康の太平洋戦争にまつわる新書2冊を続けて読んだ。

しょては「あの戦争は何だったのか」(新潮新書)

1章は「旧日本軍のメカニズム」と題し、歴史、徴兵制、組織などについて説明している。ここは知らなかったことはいくつかあった。

ただ、2章以降「開戦に至るまで」「快進撃から泥沼へ」「敗戦へ」などは、いろんな人たちが本、対談などで言い尽くしてきたことがほとんど。なし崩し的な開戦、勝利もしくは敗戦の判断ポイントを設定しなかったこと、誤報による判断の誤り、などなど。最終章の「8月15日は終戦記念日ではない」も、9月2日の降伏文書調印=終戦日というのも聞いたことあるし。

「大人のための歴史教科書」と銘打っているだけあって、ざっくり太平洋戦争を知るにはお手軽な本。

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太平洋戦争とは何だったのか

太平洋戦争とは何だったのか(クリストファー・ソーン 草思社)

太平洋戦争(著者は「極東戦争」と名付けているが)について、各国の国内の反応や、この戦争が巻き起こした日本-アジア、西欧-アジアといった関係性の変化についての論文。論文ということもありカタい文章で、読むのが大変。

ポイントは帯にも書いてある通り

「日本は敗北したとはいえ、アジアにおける西欧帝国の終焉を早めた」

ということになる。もちろん、そのために

「この戦争が正義の戦争だった」

などということではなく、事実として「西欧帝国の終焉を早めた」と言っているだけだ。

確かに、この戦争が無くても遅かれ早かれアジアの独立は成し遂げられただろうが、30-50年以上遅れていた可能性は高いのではないか。しかし、そのために多大な犠牲を払ったことも事実で、どちらがよかったのか、はもちろん一概には言えない。

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戦争請負会社

戦争請負会社(P・W・シンガー NHK出版)

だいぶ前に「戦争広告代理店」の記事をポストした。その後すぐこの本を読んでいたのだけど、レビューがすっかり遅れてしまった。

規制緩和・民営化の波はとどまることを知らず、いつの間にか

「戦争」

も民営化されつつある。

著者は、なかなか情報を公開しない軍事請負企業(PMF:Privatized Military Firms)に対して切り込んだ取材を行い、その実態を明らかにしている。

少し前にイラクで日本人「警備保障会社」社員がテロの犠牲になったことは記憶に新しいが、彼の働く会社もこのPMFだ。

戦争の民営化は

1.冷戦崩壊による、主に東側軍人・兵器の余剰→マーケットへの放出
2.同じく冷戦崩壊によって大国の押さえが効かなくなった事による地域紛争の頻発
3.(主にアメリカ人の)兵士を殺すことへの世論の反対→兵站など戦争周辺業務の「企業」への外部委託

などが原因で加速度的に進行していると分析する。現在彼らは「捕虜の人道的取り扱い」を定めたジュネーブ条約に守られる存在ではないし、逆に命令に背いたからと行って軍法会議にかけられる(=規律ある行動を取る義務・重責がある)わけではない。

この中途半端な存在のままいたずらにPMFが拡大することに警鐘を鳴らしている。

「戦争の民営化は不可避だが、それをうまく管理する仕組みを作るべき」

ということ。ふむふむ。もちろん、戦争がなくなるのが理想ではあるけれど、そうならないのであれば次善の策として

「戦争を管理する仕組み」

を考えることは必要。ジュネーブ条約なんかもその一つ。

おまけとして、戦争の歴史についても詳述されており、実は戦争が国家管理になったのはごく最近のことで、中世以前はそうでなかったことも明らかにしてくれる。

PMFの実態を知るには良い一冊なのだけど、文句もある。

翻訳がヘタ

機械翻訳そのまま載っけたんじゃないかと思うくらい、カタい日本語になっていて、そのために読了にかなり手間取った。もう少しうまければ、半分くらいの時間で読めたと思う。



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2005/07/10

戦争広告代理店

戦争関連2冊目。

戦争広告代理店(高木徹:講談社文庫 619円)

セルビアとの戦いで圧倒的に劣勢だったボスニア・ヘルツェゴビナが雇った「民間PR会社」が、国際世論を巧みに操って見事にセルビアを悪者に仕立て上げ、国連から追放するまでを描く。

テレビ屋(現役のNHKディレクター)らしく、わかりやすく整理された文章で書かれていて、かつ各章が短めなこともあり非常に読みやすい。

シライジッチというハンサムで英語のうまい外相を「悲劇の主人公」に仕立て上げ、議会、官邸、マスコミの人脈を最大限に使って国際世論を喚起し、ヤマ場の大統領の国連演説原稿まで書いてしまう民間企業。

戦争という国家間の争いに対し、民間会社がここまで貢献できる、というのは資本主義が世界隅々にまで行き渡った「成果」なのだろう。

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戦場のハローワーク

戦争関連のノンフィクションを何冊か買った。

まずは、現役バリバリの戦争ジャーナリストが書いた、指南書

戦場のハローワーク(加藤健二郎:ミリオン出版 1300円)

宮島茂樹のルポと一線を画すため、あえて「ハローワーク」とタイトルに付け、章立ても

1.戦場にたどり着く
2.戦場に行く前の準備
3.戦場で生き抜くために

みたいな感じにして、戦争ジャーナリストを目指す人向けを装っている。とはいってもそんな人は日本に数十人しかいるわけはなく、中身は著者が参加したあまたの戦争ルポ。

読む限り、かなり無茶なつっこみ取材をしている模様。ただ、彼はニカラグア、パキスタン、クロアチア、コソボとあまたの戦場に赴きながらちゃんと生き残っており、戦況を冷静に分析しながら「本当に危険」な状況は巧みに避けている。

巻末にエメラルド・カウボーイの早田氏との対談。自己の判断でむちゃくちゃ危険な地域にとどまり続ける彼らが言うように「自分は今、生きている」ことを実感するためには、「生命を脅かされる」危険な戦場に行くのが一番かも。
#怖いから行かないけど。

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2005/07/03

なぜ話は通じないのか

なぜ話は通じないのか(仲正昌樹 晶文社 1600円)

光文社新書に似たようなタイトルで「なぜあの人とは話が通じないのか」という本もあるけど、内容的にはだいぶ違う(と思う)

コミュニケーションスキルについての差し障りのない話がメインかと思えばさにあらず。

半分くらいは

「話のわからないバカ」

に対する痛烈な批判。特に、藤○直○なる人物に対しては執拗に何度も実名をあげ、いかにちゃんと話を理解していないかを具体的に指弾している。この筆者、敵に回したらかなりコワいかも。

ただし、決して感情的なわけではなく、批判も具体的に行っているので、ちゃんと作法には則っている。

なぜこんなに「話のわからないバカ」が増えたのかというと、多くの人が「話が聴けな」くなっているのが原因だと指摘している。それはおっしゃる通り。

ちゃんと人の話を聞いて理解し、自分と相手の立ち位置を確認した上で意見を述べる、という当たり前のことができなくなってきている。結果議論がすれ違ったり、単に思いつきを言いっぱなしにしたり、といった「論争にならない論争」が繰り広げられる。

健全な議論を戦わせることができないくらいに、教育レベルが下がってしまったということか。残念だなあ。

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2005/06/24

サウス・トゥ・サウス

晶文社の出すエッセイ集は、あまり外れないので、安心して買える。

サウス・トゥ・サウス(与那原恵:晶文社 1680円)

エスクァイア、東京人、コーラルウェイ(JTA機内誌)などに掲載された記事が中心。その中で、最後の比較的長い「海がむすぶもの」は書き下ろし。トカラ列島諏訪之瀬島について。

現在は人口わずか60人のこの島に、60年代はコミューンがあったそうな。このエッセイにも今でもそこで暮らす人が登場する。

島の土地は共有地ばかり、どこに生えているタケノコをとってもOK、土地を開墾したら住むのも自由、という原始共産制のような島には、コミューンを求めてきた人にはうってつけだったのかもしれない。しかし、結局長続きした人は少なく、数ヶ月で島を去る人が大半だったらしい。月8便しか船が来ず、生鮮食料品にすら不自由する生活は、都会のモノサシからすると非常に不便で、耐えられなかったのか。

コミューンの長老は、夏のトビウオ漁で生活費の大半を稼ぐと、残りはのんびりと過ごしていると言う。そういう「上を目指さない」生活もいい。

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2005/06/20

最近読んだ本

備忘録的に、最近読んだ本

ひょっこりクック諸島(岩本 宣明:NTT出版 1365円)

ニュージーランド自治領のクック諸島。NZつながりで読んでみた。見事なまでに「何もない」けど、それは逆に豊かな生活だったりする。

カーニヴァル化する社会(鈴木謙介:講談社現代新書 735円)

宮台真司の弟子だそうな。でもちょっとよくわからない。

中国はなぜ「反日」になったのか(清水 美和:文春新書 735円)

中国の「反日」行動が、ここ20年でわき上がってきた比較的短期間の行動ということがよくわかった。

そろそろギリシャ戦。最後まで見れるかなあ。

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2005/06/14

世にもマニアな世界旅行

世にもマニアな世界旅行(山口由美:新潮社 1300円)

パプアニューギニア、ナミビア、ボルネオ、コスタリカ、スロヴェニア、アラスカ、イースター島と辺境ばかりを取り上げた紀行本。特にナミビアの砂漠とイースター島には惹かれた。行きたい~。

逆にボルネオ、パプアニューギニア、コスタリカといった熱帯雨林系はマラリアとか怖いのでちょっと遠慮。アラスカのオーロラも興味あるけど、寒いの嫌いなのでNGなり。

他にも行きたい国はたくさんある。東南アジアではラオス、そして南アジアのネパール、ブータン。東欧・中欧もいい。ロシアもサンクトペテルブルクには行ってみたいし。南米も未踏の地。ペルー、チリ、アルゼンチン。なんぼでもあるなあ。

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2005/05/23

スモールワールド・ネットワーク

スモールワールド・ネットワーク(ダンカン・ワッツ:阪急コミュニケーションズ 2004年10月/2800円)

沖縄で読んだ「複雑な世界・単純な法則」が、サイエンスライターの書いた本だったのに比べ、こちらは「複雑な世界…」にも頻出する科学者が直接書いたもの。とはいっても多少難解ではあるものの、極力数式を廃し、丁寧に説明している。偶然なのだけどちょうど入門編、応用編、という感じの難易度だったので、この順番で読んでよかった。

前にも書いたけれど、スモールワールド現象は脳組織、伝染病の伝播、WWWリンク、電力配線、会社組織など、ありとあらゆる場面で見られる、かなり普遍的な法則であり、これにより流行・バブル・革命など様々な社会現象もある程度説明可能となっている。

まだ研究は始まったばかりだし、成果はこれから、という分野だけど物理学、生物学、社会学、人類学などを包含するかなり学際的な内容になっている。こういう分野はかなりスリリングで面白い。

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2005/05/17

旅行に行くとたくさん本が読めるのはなぜ?

戻ってきました。

今回、6冊本を持参し、途中で3冊買い足して未読は1冊。つまり計8冊読了。

国家の罠は書いたので、残りはタイトルだけでも列挙

トラウマの国(高橋秀実:新潮社/1400円+税)
最後の言葉 戦場に遺された二十四万文字の届かなかった手紙(重松清・渡辺考:講談社/1600円+税)
けなす技術 俺様流ブログ活用術(切込隊長@山本一郎:ソフトバンクパブリッシング/1500円+税)
2008年IMF占領(森本亮:光文社ペーパーバックス/952円+税)
世界カジノぎりぎり漫遊記 ギャンブル記者、夢の宮殿を巡る(黒野十一:平凡社新書/740円+税)
戦争を記憶する 広島・ホロコーストと現在(藤原帰一:講談社現代新書/680円+税)

ラストに読んだのが

複雑な世界、単純な法則(マーク・ブキャナン:草思社/2200円+税)

これも結構面白かった。ネットワーク科学についての本で、Six Degrees(世界中の人たちとは6人でつながっている、というネットワーク仮説)を「スモールワールド」と表現。脳細胞、インターネット、食物連鎖、伝染病といった「スモールネットワーク」の具体例をあげながら、数式をほとんど使わず、かみくだいて説明してくれる。以前読んだティッピングポイントについても詳しく解説。

「スモールワールド・ネットワーク」という本も買っているので、読まなきゃ。

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だいたい旅行に行くとたくさん本が読める。逆に言うと家にいるとなかなか本が読めないということ。昔は「読書デー」なんていって1日こもっていたこともあったけど、今は土日はほぼ間違いなく外出するからかなあ。

ということは、本を読むためにも時々旅行に行かないとね(笑)。

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2005/05/15

国家の罠

急遽来週火曜まで休みを取り、今は沖縄、那覇市内のホテル グランドオーシャンにいる。
クラブフロア、朝昼晩3食、スパ利用料全て込みオールインクルーシブのプランでなかなか楽チン。
明日からは日航アリビラに移る予定。

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて(佐藤優:新潮社)

ホテルについてから読み始め、あまりの面白さに一気読みで先ほど読了。
鈴木宗男の懐刀として背任と偽計業務妨害で逮捕された外務省ノンキャリの著者が書いた獄中記。

上司の承認も得た上で外務官僚の業務として実施したことが、2年後に犯罪に問われることを、彼は

「国策捜査」

と表現している。検察が国民世論に押される形で過去を洗いざらい調べ上げ、微罪でも起訴まで持っていくその執拗さは、当たり前だけど国家権力が本気になったときの怖さをさらけ出している。

この本の魅力はたくさんある。たとえば、検察官西村との調書をめぐる虚実あいまった駆け引きはあたかもサスペンスドラマのようでもあるし、ロシア外交にまつわるさまざまな裏話は有能な政治家の回顧録のように臨場感あふれるドキュメントでもある。彼が外交における本物の情報スペシャリストだったということがよくわかる。

一番感銘を受けたのは、著者の頑固なまでの筋の通し方だった。外務官僚としての非常に強い矜持がそうさせたのだけれども、しかし出ようと思えば半分以下の期間で出られたにもかかわらず、1年半もの間拘置所に自らの意思でい続けたのは驚嘆に値する。

今気づいたのだけど、版元はムネオ騒動で先頭を切っていた新潮社ぢゃないか。この著者は懐が深いといううかなんと言うか。

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2005/01/26

脳はなぜ「心」を作ったのか

本当に久しぶりのブックレビューかも。

脳はなぜ「心」を作ったのか(前野隆司:筑摩書房 2004年11月/1980円)

かなり過激な本ではある。オビには

「心の謎がついに解けた!!」

とある。

「意識は能動的ではなく、受動的なものである」という受動意識仮説から、心=意識は主体的に「私」を司っているのではない、と断ずる。

以前ユーザー・イリュージョンなどを読んで、「意識は、実は錯覚である」ということは、ある程度理解していたつもり。しかし、この本ではそれをさらに進め、

「私」をコントロールする「意識」は存在しない。

「個性」はニューラルネットワークの結合の帰結として表現され、「私」自体は没個性な錯覚にすぎない。

感情、知覚、そして意志決定ですら「受動的」なものである。

などという、ちょっと聞いただけだと「トンデモ」な説を、素人にもわかりやすく丁寧に解説してくれる。
#本人も「心の地動説」と言っているので、すぐには受け入れられないと思っているのだろう。

今まで心と脳についての解説書をたくさん読んできたけど、一番腑に落ちる説明ではある。ほとんどの本は「肝心なところはわからない」で逃げていたのに比べ、この本はまがりなりにも「心」とは、という大問題についてきちんと説明している。その姿勢は、エラい。

せっかくなので、脳とか心関係の本を続けて読んでみようと思う。次はスティーブン・ピンカーの予定。

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2005/01/08

戦争の世紀を超えて

戦争の世紀を超えて(森達也+姜尚中:講談社 2004/11 1890円)

名作「A」を撮影したノンフィクション映画監督と気鋭の社会学者の二人が、人はなぜ殺し合うのか、戦争はなぜなくならないのか、という重いテーマに正面から向き合った対談集。

ナチスドイツのユダヤ人虐殺、クメール・ルージュによる自国民の大量処刑、オウムが起こしたサリン事件、関東大震災時の朝鮮人殺戮、朝鮮戦争における同じ民族同士の殺し合い…。

これらの悲惨な大量殺人を起こした戦争や犯罪は当事者が邪悪だったから起きたのか。

いや、逆に無垢だから、ピュアだったから、何かのきっかけで理性のたがが外れ極端に残虐になり、取り返しのつかない事を起こしてしまったのだと二人は喝破する。そして、落ち着いて自分のやったことを振り返ったとき、あまりの悲惨さに呆然とする、ということの繰り返しだと言うのだ。

ブッシュが起こしたイラク戦争についても、石油利権と軍需産業の後押しだけでは説明がつかない。あくまで圧政に苦しむイラク市民を救う、世界を救う、という「善意」が原動力となっていると彼らは言う。

僕は彼らの行為が100%善意から来ているとは思わない。しかし、軍事行動の「支え」になっていることは事実だろう。怖いのは、いつその「善意」の矛先がイラク・北朝鮮ではなく日本に向いてもおかしくないということだ。アメリカの言うこと全てに追従するというのは、そんな事態が起きたときに、逃げ場がなくなるということを意味している。だって、そんなワンワン国家をヨーロッパやアジアの国々は守ってくれやしないから。

もうひとつ。「第三者の使命」ということが強調されている。これは、被害者に同情して、加害者を過度に責め立てることによって、「殺戮の連鎖」が起きることを戒め、あくまで第三者としてフェアな判断を下すべきと主張する。日本は「唯一の被爆国」「戦争放棄を宣言」した国として、第三者としてふるまえるはずなのに、対米追従を国是とすることを批判している。

おっしゃる通り。せっかくの立場を無駄にしている日本は、本当にもったいないと思う。

争いは、殺し合いは無くならないのか。
森達也はジョン・レノンのイマジンの一節を引いてそれを否定する。

すべての人々が、世界を分かち合っていると思ってごらん。

君は僕を、夢見ているだけだというかもしれない。

でも僕は一人じゃない。

君も僕らと共に思うだけで、きっといつかは世界が一つになる。

そう、世界の人々がオプティミストかつリアリストになれば、世界は変わる。

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2004/10/31

「夕凪の街 桜の国」必読

夕凪の街 桜の国(こうの史代/双葉社:840円/2004年10月)

昨日はk-tanakaくんと春夏秋冬そして春、今日は、いま、会いにゆきます、ターンレフト・ターンライト、そしてライファーズと合計4本の映画を見た。

そちらのレビューもやりたいとは思うのだけど、昨日読んだあるコミックの事が頭を離れない。映画を見ていても、フラッシュバックのようにいくつかのシーンがよみがえってくる。

本のオビにはみなもと太郎が「実にマンガ界この十年の最大の収穫だと思います。…」と最大級の賛辞を送っている。

今年一番の収穫は、福島聡の少年少女だと思っていた。他にも松本剛の甘い水、戸田誠二のしあわせ、二ノ宮知子ののだめカンタービレなどの発見もあった。しかし、この本を読んで受けた衝撃は、マンガ読みになって30年、間違いなく最大級のものだ。

こうの史代。この作者の名前を知っている人はほとんどいないだろう。しおぴーもこのページの感想を読むまでは全く知らなかった。そりゃそうだ。これまでに発表された単行本は双葉社から出た4コママンガ「ぴっぴら帳」の1巻と完結編のわずか2冊。完全なノーマーク。

「夕凪の街」「桜の国(一)」「桜の国(二)」の3連作。わずか、100ページにも満たないこの3作は、ヒロシマについて語る。そう、世界で初めて原爆が落ちた都市、広島の被爆者とその子供たちについての話だ。

実は今でも、この文章を書いていて鳥肌が立つのを抑えられない。それだけ被爆者の心の奥底に潜む深い悲しみと行き場の無い怒り、そして諦念を見事に描ききっている。それだけではなく、そこからほんのわずかに生まれる希望、そしてその先に待ち構えている闇も合わせて。

内容に触れたいのだけど、ちょっと時間切れ。後でじっくり考えて書きます。

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2004/10/04

のだめが週刊朝日に

週刊朝日最新号をお風呂で読んでいたら、

”マンガ「のだめカンタービレ」の魅力”

なんていう記事が飛び込んできた。

週朝が少女マンガを記事にするなんて、あまり記憶にないかも。

まあ、正直内容はどうってことなくて、

「のだめ」をきっかけにクラシックを聞く人が増えた

とか

作者の二ノ宮知子は実在の友人「のだめ」ほかから丹念に取材をして、リアリティを出している

といったのだめフリークにはよ