2008/07/03

スピード・レーサー

スピード・レーサー(★★★☆☆)@ Skycity Queen St. IMAX 日本でも公開中

ウォシャウスキー兄弟の最新作。原作は、1967年~放映のアニメ"マッハGOGOGO"。しおぴーも見た記憶ありありなんだけど、本放送は1歳のときなので、見たのは再放送ですな。

アメリカではあまりヒットせず、先週からスタートしたここNZでも興行成績は芳しくない模様。

というのも、

"Speed Racer at Kids Price"

ということで、大人でも子供料金で提供しているくらいだし、最大手の新聞NZ Herald紙でも★2つとほぼ最低の評価。

お初のIMAXは"NZ最大"をウリにしているだけあってスクリーンが本当にデカい。客席数は500くらいかな。

で、平日初回とはいえ、観客数はしおぴー含め

「3名」

これは確かに大変かも。一応学校はお休みのホリデーシーズンなので、そこそこに映画館は入っているんだけど、どうやら”ダメ映画”の烙印を押されている感じ。

でも、個人的にはそんなに悪くない。

内田先生はこの映画を

「未来から回想した過去」

と表現した。

http://blog.tatsuru.com/2008/07/04_1326.php

しおぴーとしては監督が子供の頃マッハGOGOGOを見た時に「感じたこと」をスクリーンに再現したように思えた。

そう、

「想像力豊かな子供が”感じとった”原作のエッセンス」

を大胆にそのまま映画にしたんじゃないかと。

もちろん原作はモノクロで絵も粗製濫造、コマ落とししまくりかつ音もモノラル、と「欠点」をあげつらえばどこまでもできる。でも、当時の子供たちは、”想像力”で足りないものを補いながらその躍動感に熱狂していたじゃないか。それら”足りなかったもの”を今のテクノロジーでフルに補ったのがこの映画。

子供の夢だから家はLEGOブロックだし、色は極彩色、時折アニメのようなコマ落としも入る。

冒頭で主人公が少年の時に描いたレースの落書きがそのままアニメのように動くのもその象徴。

「ストーリーが無い」

という批判も、少年漫画の

「最後に正義が勝つ」

という黄金パターンを忠実に再現しているんだから、当然のことかと。

あと、マッハGOGOGOのテーマ曲が時々アレンジされて入っていたり、マシンスペックはかなり原作に忠実だったりと原作の記憶がある人にはうれしい作り。

ただし、かなり色遣いは派手派手なので

「色に酔う」

確率は高し。

P.S.

でも、監督が「足し算」だけじゃなく「引き算」もきっちりやってたら、傑作になったのかもね。

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2008/06/29

Second Hand Wedding

Second Hand Wedding(★★★☆☆)@ Hoyts Sylvia Park

たぶん日本に来ることは無いであろう、ニュージーランド・ローカルのコメディ映画。思ったよりイイ。

Kiwi(ニュージーランド人は自分たちのことをよくこう言う)は物を大切にする。

Flea Market(のみの市)は盛んだし、NZで一番はやっているサイトは間違いなく

trademe

というヤフオクと同じオークションサイトだ。

よく不要品を自宅で売りさばく

"Garage Sale"

も盛んで、この映画はそのガレージセールに入れあげる母親と、これから結婚式をあげるその娘のお話。

娘にとってみれば結婚式は一世一代の晴れ舞台。それを母親がそこらのガレージセールで手に入れたがらくた(と娘には思える)でいっぱいにされては、確かにたまらないだろう。そのあたりの母娘の葛藤をコミカルに描いているのだけど、結構細部の描写が生き生きしててヨイ。

オフィシャルサイトを見てもらえればわかるように、この作品、かなりヒットしていてオークランドでも複数の映画館でロングラン上映されている。

人口わずか400万人(ほぼ横浜市と同じ)のこの国で、こういうレベルの映画が作れ、さらにそれが商業ベースに乗る、というのはなかなかすごいことかも。

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2008/06/17

告発のとき

告発のとき "In the valley of Elah"(★★★★☆)@HOYTS Sylvia Park

「クラッシュ」のポール・ハギス監督ということで期待して行ったのだけど、その期待を裏切らない作品。

映画館はお初のシネコンHOYTS。ニュージーランド最大級のスクリーンもあれば、革張りのゆったりしたシートにバーもついてるDirectors Lounge、あとなんだかわからないけどソファみたいなシートのHalfpipeなんてのもある。かなり気合入ってます。今の家からは結構近いので、これから通うようになるかも。

火曜日は通常15-16ドルの大人料金が10ドルになるサービスデー。
Directors Loungeも10ドルなので、かなりお得。(いつまで続けてくれるかなあ)

そんなゆったりした座席で見た「告発のとき」は、しかしとてもとても重い映画だった。
英語もかなりわかりづらかく、理解度は残念ながら70%くらい。後でネットのレビューとかを見て補足。

netでいくつかのレビューを読んだら、

「イラク戦争の問題を描いているのはよくわかったけど、結局どうすればいいのかが描かれていない」

なんて批判が複数書かれてあった。

まったくもってナンセンス!

これだけの内容をリアリティもって語りかけているのだから、あとは見た人が考えることでしょ。

まごうことなき反戦映画なんだけどねえ。

ちなみに原題の"In the Valley of the Elah"は旧約聖書に出てくる地名。ダビデが少年時代にゴリアテという巨人兵と戦った場所。詳しくはこちらのページ

詳しい中身はぜひ見てもらうとして、元軍人警官トミー・リー・ジョーンズが節々で見せる、規律正しい軍隊生活で培われたであろう「きちんとした折り目正しい態度」と、殺された息子が所属していた部隊の兵隊たちの「度が過ぎたハメのはずし方」の対照が印象に残る。同じ軍隊なのに、一世代でこうも違ってしまうものかと。

偶然同じトミー・リー・ジョーンズが出演した"No Country for Old Men"と同様に

「アメリカはとうとうこんな国になっちまった」

という半ば諦観に近いものを感じた。

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2008/06/02

21

21(★★☆☆☆)@Skycity Queen St.

邦題:ラスベガスをぶっつぶせ! 5/30現在日本でも公開中

今日はQueen's Birthdayということでお休み。久しぶりにSkycity Cinema へ。館内は暖房どころか冷房効いてるんじゃない、ていうくらい寒かった。NZの冬映画鑑賞時には防寒が必須。

NZ Heraldのレビューはあまり良くなかったけど、ブラックジャックをたしなむものとしてはやっぱり見ておくべきでしょ、ということで見たら残念ながらダメダメ。

MITの天才チームがラスベガスに乗り込んでブラックジャック(別名21)で大金を巻き上げる、というお話。

ただ、読んでないけど、原作とは全然違ってるんじゃないかなあ。

あってもなくてもいいラブロマンス、冒頭を見ただけでオチが予想できる安直な作り、ありえないくらい極端で理解不能なキャラクター設定、安っぽい友情全開、ものすごいご都合主義などなど。

カードカウンティング(ブラックジャックでの必勝法)をして、カジノから追い出されるくらいならわかるけど、なんで地下で用心棒に殴られるのかが理解不能(そんなことやったら傷害罪でしょ)

二人で久々に怒り爆発だった作品。

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2008/05/25

Lars and The Real Girl

Lars and The Real Girl (★★★★☆)@ Rialto Newmarket

久し振りだけど、このリアルトの席はゆとりがあって、やっぱりいい。メジャー作品はほとんど来ないけれど、オークランド滞在の時には欠かせない映画館。

邦題「ラースと、その彼女」
2009年お正月シネクイント上映予定

あまりのトバしっぷりに最初は笑うしかなかったのだけど、途中からアメリカの田舎で暮らす人たちの温かみを感じられた。

すっごくイタい、でも切ない映画。

あまり内容については書かないので、ぜひ映画館で見てくださいな。

自分が主人公ラースの身近にいたら、どう対応したかな、と考えてみる。

たぶん遠巻きにして見ているだけじゃないのかなあ。

それを、この映画に登場する人たちは真剣にラースのことを考え、「その彼女」ビアンカを丁重に遇する。はたから見るとこっけいにしか思えないのだけど、彼らはこの困難な事態を真正面に受け止め、真摯に対応する。

すべてはラースのために。

そう、愛するラースのために。

名作。

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2007/10/07

パンズ・ラビリンス

パンズ・ラビリンス(★★★★☆)@恵比寿ガーデンシネマ

ダーク・ファンタジーと銘打っていただけあって、ダークな内容ですな。

全編ファンタジーというわけではなく、1944年、スペイン内戦時に主人公の少女が直面した厳しい現実に「彼女にとっての現実=ファンタジー」が加わっていたという話。

現実の世界では虫けらのごとく人々が殺され、ファンタジーの中でも厳しい試練が彼女を待ち受けている。なんだかずっと暗いトーンで話が進んでいき、結局彼女はどうなってしまうのか、気をもんでしまった。

その結末は見ていただくとして、非常によく話の練られた、良質の映画であることは間違いない。(しおぴー同様)恵比寿ガーデンシネマが嫌いな人も、シネカノン有楽町1丁目でもやっているので、そちらでぜひ。

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2007/09/30

エディット・ピアフ

急に涼しくなった今日このごろ。約1ヶ月ぶりの更新ですな。

エディット・ピアフ 愛の讃歌(★★★☆☆)

最近映画館で上映前の予告編でやたらと目についていたこの作品、評価も高いようだったので見にいってみた。

成り上がりの歌手一代記。実は一生を通して1本の映画にする、というのはどうしても焦点がボケてしまうのであまり好きではない。ダラダラと時代を追って流すのではなく、多少なりとも注意を引こうとしてか、やたらと時代が行ったり来たり。気持ちはわからないではないけれど、ちょっとやりすぎではないかと。

病弱で両親から見放され、あげくに娼館で育てられとどん底の生活をしていたピアフ。彼女にとって「歌が全て」だった。路上で見いだされ、キャバレー、そしてコンサートとステージが上がっていく。

有名になった後、体調が悪く舞台をキャンセルしようとするスタッフに対し鬼気迫る勢いで

「歌わせて。でなければ生きている意味がない」

と訴える彼女は、「歌に魅入られて」しまったのだろう。

彼女の一生は光と陰のコントラストが激しかったけれど、悔いがなかったことを祈りたい。

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2007/08/19

オーシャンズ13

最近歌舞伎町で映画を見ることが増えた。
「歌舞伎町シネシティ」と「ぴあ」のタイアップで発行した

歌舞伎町シネシティカード

で歌舞伎町で上映される映画が原則1000円で見れるようになったから。
#すでにカード配布は終了

というわけで、今日はオーシャンズ13(★★★★☆)@ミラノ座

プロデューサーのジョージ・クルーニーいわく、前作が不評だったために急遽リベンジのために製作したこの続編、十分愉しませてもらいました。

きれいどころジュリア・ロバーツとキャサリン・ゼタ=ジョーンズを外し、余計なラブストーリーを省略、

悪者アル・パチーノをいかに陥れるか

に集中してストーリーは進む。前作ほどのトラップ・どんでん返しは存在せず、ストレートにリベンジに向かう。

復讐劇だけに、オーシャンズシリーズとしては多少肩に力が入った感はぬぐえないが、それもまたよし。

ラスベガスに行ったのはもう20年も前の話。当時はおちぶれつつあるカジノだけの街、という印象だったのが大きく変わっている。久しぶりに行きたいな。

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2007/08/18

トランスフォーマー

トランスフォーマー(★★★☆☆)@新宿プラザ

レビューではたいがい酷評されており、一部に

「ロボットアクションだけを徹底的に割り切って見せているところがすごい」

とほめているのかけなしているのかわからないけど、一応評価しているものがあるくらい。

というわけで、怖いもの見たさに行ってみた。

元々トランスフォーマー自体が子供向けのおもちゃということもあり、これは子供向けの映画なのでは、という気もするのだけど、そんなものに1億5000万ドル(172億円!)もかけるのは、正気の沙汰とは思えない。でも、とりあえず米国内では興行収入目標をクリアしたみたいだし、日本でもそこそこ好調の様子。

子供向けとしても、ストーリーはあって無きがごとし。つっこみどころ満載で、シナリオ学校で卒業制作として提出したとしても「落第」となるような超ご都合主義かつ矛盾だらけのしょーもない内容。

ロボットアクションは確かにすごく、変身は超スムーズ。やっぱり子供向け(しかも小学校低学年)か。

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あかね空

あかね空(★★☆☆☆)@飯田橋ギンレイホール

ギンレイホールは1年間有効のシネマカードを持っているので、ある程度の駄作であれば「まあしょうがないか」とあきらめがつく。

でも、これは無いなあ。

原作はたぶん悪くない(読んでないけど)。ただただ演出の問題ではないかと。諸悪の根源は二時間ドラマを思わせる、オーバーな演技。特に石橋蓮司のあの「せき」は「私はもうすぐ死にます」と明確に伝えていて、鼻白む。中谷美紀の娘時代も学園ドラマのような「私は恋に恋する乙女!」的演技。

また、「中谷美紀が長男を溺愛する理由」や「悪役が豆腐屋を守ろうとする必然性」が伝わってこない。
#ちゃんと絵では見せているのだけど、説得力が感じられない。

一冊の単行本を2時間でむりやりおさめたため、説明不足になってしまったのかな。

ちなみに、内野聖陽の一人二役、みっちゃんに指摘されるまでわかりませんでした(笑)。

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2007/08/13

天然コケッコー

天然コケッコー(★★★★☆)@新宿武蔵野館

「リンダ・リンダ・リンダ」の山下監督作品。
#松ヶ根殺人事件は未見。

方言から最初はてっきり福山と広島の間にある瀬戸内海のどこか、と思っていたのだけど、途中で島根県とわかる。福山弁によく似てる。

全校生徒わずか6人の田舎の分校に引っ越してきた「イケメンさん」が小さな村に巻き起こす大小様々な波紋を丁寧に描く。

主人公右田そよ(夏帆)が抱える恋心の、やたら淡々とした描写が好感もてる。たぶん今時の中学生の恋愛ってこんな感じなんじゃないかなあ。

あふれんばかりの自然あふれる中、健全な男女交際をてらい無く撮った監督に拍手。

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2007/08/12

夕凪の街 桜の国

夕凪の街 桜の国(★★★★☆)@シネマスクエアとうきゅう

大好きな、心から大切にしたいと願う原作がどう料理されるか、期待半分不安半分だったけど、よくがんばったというところか。

てっきり「桜の国」をベースに「夕凪の街」部分がフラッシュバックで入ってくるよう大胆に再構成するかと思っていたら、ほとんど原作通りに展開。ただし、「桜の国(一)」部分が「桜の国(二)」に吸収されていた。

「おまえの住む世界はここではないと誰かの声がする」

などの原作の名セリフたちはほぼそのまま踏襲されている。ただし、原作ほど心に染み渡ってこない。このあたりは、他のシーンと同じペースで流すのではなく、もっとじっくり時間をかけて映すほうがよかったのでは。

原作はかなりのマンガ読みでないと見逃してしまう伏線がてんこ盛りなのだけど、そのあたりはうまく言葉で説明しており、原作を見ていなくても十分理解できたのでは。よく参考にしているサイト映画生活での評価も8月19日現在1位と高い。

皆実役の麻生久美子はハマり役。それに対する七波役の田中麗奈は原作に忠実とはいえ、ちょっと現実離れした極端なキャラになっているかなあ。

映画では伝えきれないところがたくさんあったと思うので、ぜひ原作をあたってもらえればと。

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2007/08/05

善き人のためのソナタ

善き人のためのソナタ(★★★★☆)@飯田橋ギンレイホール

ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ、共産主義体制維持のための国民総監視システムが正当化されていた暗黒の時代。シュタージ(国家保安省)は少しでも怪しいと思った人物について徹底的な監視・盗聴を行っていた。

ある劇作家を監視していた職務に忠実な主人公ヴィースラーが、作家が恋人や友人たちと交わす「自由」への希求や「むき出しの愛」にふれることにより冷徹だったはずの心がとけていく様を描く。

「職務に忠実」であることは、「善き人」の必要条件かもしれないけれど、十分条件ではない。「職務」が「善きこと」であれば問題ないけれど、そうでない場合は「職務に忠実」=「悪人」となってしまう。

主人公は「善き人」であろうと常に思ってきたはずだ。しかし、僕らから見ると彼が「善き人」になるのは、「体制」を裏切ってから(=当時の判断基準からすると「悪人」となってから)となる。なんて大いなる皮肉。

日本という、自由な意見の言える、相互監視の無い国に生まれ育って、本当に良かったと思う。これからも、この自由は無くしたくない。

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2007/07/22

ボルベール<帰郷>

ボルベール<帰郷>(★★★★☆)@TOHOシネマズ六本木

ペネロペ・クルスはスクリーン上でお色気をまき散らしているけれど、濡れ場はほとんど無し。もったいないというか何というか。

6人の女性が織りなす「死」にまつわるストーリー。冒頭がお墓の場面、というのも暗示的。といってもずっと暗い話というわけでもなく、「幽霊が出た」みたいな明るめなエピソードも交えたりしながら、順々に謎解きをしていく。

女の強さとしたたかさを十分堪能させてもらった。

ペトロ・アルモドバル監督は初見。オール・アバウト・マイ・マザーやトーク・トゥ・ハーも見なきゃ。

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2007/07/10

傷だらけの男たち

傷だらけの男たち(★★★☆☆)@新宿武蔵野館

インファナル・アフェアの監督、スタッフが再結集し、トニー・レオン&金城武が主演する作品ということで、かなり期待していたのだけど…。

サスペンス的要素とドラマ的要素が組み合わさっているものの、どちらも中途半端かなあ。ストーリーの鍵となる殺人事件の犯人は直後にはもうバレてしまっているし、金城武はともかく、トニー・レオンの心中はラスト近くまであまりはかり知ることができない。

あと、完全犯罪のトリックが新本格推理並みにちょっと込み入りすぎ。もう少しシンプルでもよかったのでは。

インファナル・アフェアのような最初から最後まで目が離せない映画をイメージしていると肩すかしをくらってしまう。

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2007/07/02

キサラギ

キサラギ(★★★★☆)@シネフロント

小品ながらきっちりと楽しめるエンタテイメントもの。

1年前に自殺したB級アイドルの一周忌追悼会(といってもファン5人の内輪でのもの)で浮き上がってきた

「他殺説」

を登場人物がドタバタしつつ検証していく。

わかりやすく伏線をはっているので、途中でオチが見えてしまったが、それでも楽しめた。

ほぼ一部屋の中だけで物語が進行するのに、ダレさせることもなくラストまでテンション高くもって行く力量はヨイ。

5人とも個性的でよかったが、中でも香川照之はさすがに上手。Wikiで初めて知ったのだけど歌舞伎俳優の父と宝塚の母の子に生まれ、東京大学卒。なんてサラブレッドな。

2002年カンヌ受賞の問題作「鬼が来た!」で初めて彼の存在を知ったのだけど、なかなかにすばらしい演技と思っていた。この週末にDVDで見た「ゆれる」や地上波で放映された「明日の記憶」でも好演しており、

欠かせないバイプレイヤー

としての地位を確立しつつある感じ。

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2007/06/26

ラッキー・ユー

ラッキー・ユー(★★★★☆)@シネマスクエアとうきゅう

ラブコメの女王、ドリュー・バリモアの最新作。

ポーカー専門のギャンブラー父子と、ドリュー・バリモア扮する歌手の卵の物語。ラブストーリーが縦糸、父子のいさかいが横糸となり、ラスベガスのポーカー場を舞台にストーリーが進む。

出てくるポーカーの種類は7カードスタッドとテキサスホールデムの2種類。

今はカジノではブラックジャック専門だけど、昔はポーカー(7スタッド)をやっていたことがある。でも、ポーカーフェースができないし、まさにこの主人公のように全ツッパリをして撃沈する日々が続き、ギブアップ。

この作品、ギャンブルというまさに男の勝負について描いているのに

「勝ち負けだけが全てぢゃない」

というところが、いい。

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ゾディアック

ゾディアック(★★★☆☆)@丸の内プラゼール

映画評での評価が高かったということもあり、期待して行ってみた。

実際にカリフォルニアで起きた連続殺人事件を映画化。犯人は手紙で犯行を告白。あまつさえ殺人予告まで行い、街はパニック状態となる。模倣犯、愉快犯も続出し、捜査は混乱する。

容疑者はたれ込みで無数にわき出てくるものの、警察は所轄の縄張りに縛られたこともあり的確な捜査ができない。それを

「ゾディアックにとりつかれた男」

の一人、一コマ漫画家が執念の取材で犯人に肉薄する。

サスペンスとして一級品であることは間違いない。

ただ、見終わった後に物足りなさが残ったのも事実。

あまり詳しくは説明しないけど、「ノイズ」が多すぎて推理の筋道がたてられなかったというところか。

でも、それも監督のもくろみ通りなんだろうなあ。

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フラガール

フラガール(★★★★★)@飯田橋ギンレイホール

もうDVDも出ているけれど、映画館で見たかった作品。単館スタートながら口コミで拡大し、最終的には大ヒットになったというのがよくわかる。名作。

ド素人の炭鉱娘が3ヶ月で立派なフラダンスチームとなった実話を基にした物語。涙あり、笑いあり、ハラハラドキドキもてんこ盛り。映画の面白さがぎゅっとつまった作品。

蒼井優はうまいなあ。ダンスは今回習ったのだろうか?だとしたら、すげえ。

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あなたになら言える秘密のこと

あなたになら言える秘密のこと(★★★★☆)@飯田橋ギンレイホール

Good Job!

場所は殺風景な海上の油田掘削所。直前に起きた事故で重傷を負った患者と、社会との関わりを半ば断って一人で暮らしていた女性の「再生」ストーリー。かたくなだった女性の心が、患者との会話を重ねることで徐々にうち解けていくのをじっくり丁寧に描く。

ティム・ロビンスはこういう小品にも出るんだねえ。いい感じ。

イザベル・コイシェ監督はスペイン出身。エンドロールでスペインでも撮影されたと明記されていたけど、多分工場のシーンがスペインなのでは。

前作「死ぬまでにしたい10のこと」もDVD借りてみようっと。

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14歳

14歳(★★★★☆)@渋谷ユーロスペース

「ある朝スウプは」の廣末&高橋コンビが贈る商業デビュー作。

こちらもまた面白い。

14歳の中学生たちが感じているであろう、やり場のないイライラ感を見事に描写。

多感な子供たちを傷つける、大人たちの何の気ない言葉や、子供たちと正面から向き合うことを避ける大人たちのふるまいを見るにつけ、彼らの置かれた「息が詰まりそうな」環境が目に浮かんでくる。

逆に、生徒たちとどう接すればいいのかわからず苦しむ教師の側もきちんと描いている。

「学校に行く」

とか

「勉強する」

ことが自明だった自分の中高時代と様変わりし、学校での規範が失われてしまった今、学校にいるということは多くの生徒・教師にとって苦痛でしかないのかもしれない。

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プレステージ

プレステージ(★★★★☆)@新宿バルト9

「結末は決して他人に言わないでください」系

かなり面白い。

マジシャンのライバル二人がそれぞれに秘密を持ち、相手をだましあう。

その複線の筋が少し難しいのだけど、それさえ我慢すれば謎解きの興奮度は高い。

久々に出会った、映画らしい映画。

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2007/06/04

監督・ばんざい

監督・ばんざい(★★★☆☆)@テアトル・タイムズスクエア

公開を記念して、テアトル・タイムズスクエアは、6/1-3の間だけ「キタノ・タイムズスクエア」に名前が変わっていた。一応館内アナウンスもちゃんとそう言っていた。

予想通りの「壊す」映画。前半は小津調、ホラー、昭和30年代ものなど6つのミニ作品を作り飛ばし、後半は岸本加世子、鈴木杏に北野武がからんでギャグ・ストーリーが進む。で、最後は全部チャラにすると。

今月スカパーで北野武特集が組まれており、「その男凶暴につき」、「ソナチネ」とそれに「座頭市」(これはラスト近くだけ)を見た。どれもすばらしく、バイオレンスでもエンタテイメントでもこれほど完成度高い作品が作れるのに、あえてスタイルを壊そうとするその姿勢はよい。ただ、怪作「み~んな、やってるか」に比べれば笑えるシーンも多いのだけど、作品の出来はというと、まあ平凡かなあ。

原題は”Opus 19/31”

立ち読みしたスカパーTVガイドによると、Opusは作品の意。全部で31作撮る予定の映画のうち19作目、ということだそうな。数えると13作目なのだけど、今回6つ小作品をいれているのでその計算になるんだって。

ということは、あと12作ということ?

あれだけ暴れまわっていた北野武も、もう60歳。1年1作として残りはそれくらいかもね。

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2007/05/29

ラッキーナンバー7

日曜朝は歩いて飯田橋ギンレイホール。

ラッキーナンバー7(★★★☆☆)

サスペンスもの。

前半はあまり説明なくストーリーがガンガン進むので、ついて行くのがやっと。

それと比べると謎解き部分は事細かな説明で「そんなとこまで言わなくても」とちょっと辟易。

そのあたり、バランスが悪かったかなあ。

それと、謎解きはちゃんと理解できたけど、偶然性に頼りすぎてないか。

よかったこと。ルーシー・リウはお上手。

あと、原題は

"Lucky Number SLEVIN"

スレブンがわかりづらいのでセブンにしたんだろうけど、ちょっとイマイチ。なにがラッキー7なのかラストまで全然わからなかった。

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恋愛睡眠のすすめ

2本目は、恋愛睡眠のすすめ(★★★★☆)@シネマライズ

エターナル・サンシャインのミシェル・ゴンドリー監督期待の新作。舞台がパリということもあり、半分近くがフランス語。

メキシコから何十年ぶりかに実家に戻ってきた、フランス語があまり得意ではない主人公ステファン。夢と現実の区別がつかない彼が好きになったのは、隣部屋に住む父親(笑)似のステファニー。社会適応できず、会社でもまともに扱われていない様は涙を誘う。

彼の脳内では完璧に彼女とつきあっていることになっているけど、現実はそうじゃない。夢と現実を混同していきなりわけのわからない手紙を書いたり、プロポーズしたり。そんな彼の姿を見て、彼女は彼の本心がどこにあるのかわからない。2人の距離は近づいたと思えば離れていく。

ストーリーは夢と現実が入れ替わり立ち替わり出てくる多少とまどうけれど、夢の場面は車、壁紙、TVカメラなどが段ボールでできているので、それで区別できる。ま、主人公も間違えてるから、同じ体験をしていると思えばいいかな。

英語とフランス語が交錯するというのも、監督の狙いだと思う。日本だとどちらも字幕が出ちゃうのであまり区別がつかないけど、英米で上映する時はフランス語の字幕しか出ないだろうから、かなり受ける印象が異なるはず。

特にそれほど外国語が得意ではないアメリカ人であれば、

「フランス語がわからない主人公が、フランス語だらけの環境に放り込まされてとまどう様」

に共感するのでは。

男の妄想全開の映画だけど、楽しめた。ラスト、もう少し観客に親切だったら★5つだったんだけどなあ。

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スパイダーマン3

久々に1日2本映画を見た。

しょてはスパイダーマン3(★★★☆☆)@新宿バルト9

1,2は大好きだったのだけど、3はちょっとやりすぎかなあ。

冒頭の追跡シーンは夜ということもあり、すごそうだけど何が起きているのかよくわからない、というところから始まった。

キルスティン・ダンストはこれまでにも増して憎たらしいし、くっついたり離れたりがせわしない。

敵キャラも、深みが無く、ちょっとイマイチ。砂男のアイデアはいいかもしれないけれど、あそこまで巨大化されると…

ダークなスパイダーマンは、まあ悪くはないけど、クライマックスも「友情」を強調しすぎじゃないかなあ。

正直あまりノレませんでした。

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2007/05/22

神童

神童(★★★☆☆)@新宿武蔵野館

土曜日、早めに仕事が終わったからわざわざ新宿まで行ったのに。
原作大好きなんだけど…

コミックス4巻分全てを2時間弱にまとめるのはそもそも無理がある。結果変なダイジェスト版のようになり、原作を読んでいない人には何のこっちゃわからないシーン続出だったろうし、読んだ人にとっては

「原作への冒涜」

としか思えないような乱暴な取り扱い。

せめて、前半か後半どちらかに絞るのがよかったのではないかと。

とりあえず、見なくてよし。

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2007/05/14

もう桜のシーズンもおしまいなので、デザイン変更してみた。

鰐(★★★☆☆)@ユーロスペース

ユーロスペースって客席数の割にスクリーンがデカいので、3列目くらいだとすごく圧迫感あるなあ。

キム・ギドク監督処女作。

男と女の、常識では計り知れない倒錯した愛を描き続けるギドク監督の原型がここに。

ホームレスでブチ切れやすく、だらしなく暴力的と全て渡ってろくでもない主人公。彼が唯一安らげる場所は、汚い川の水面の下だった。そこは、現実とは正反対に、澄み切った楽園として表現されている。

彼が命を救った娘などの周りの人たちに感化され、人との絆に芽生えた彼は徐々に優しくなっていく。しかし、そんなつかの間の幸せな日々は長くは続かなかった…。

主人公の地上でのホームレスとしてのいらついた表情と、水中での幸せそうな表情の対比がよい。

最近の作品に比べれば、わかりやすく多少なりとも共感しやすいかな。

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2007/04/15

弓(★★★★☆)@飯田橋ギンレイホール

「絶対の愛」公開中のキム・ギドク監督の前作。
#ちなみに、アルファベットはKim Ki-dukなのに、なぜ「ギ」ドクと読むのかは、不明。誰か教えて。

東京に残る数少ない名画座として有名なギンレイホール、実は初めて。ちょっと座席が狭いかなあ。後述のシネマパスポートのおかげか、初回というのに席は7割方埋まっている。映画館を出るときには行列ができていた。

世間の常識からすれば「インモラル」とされてしまう究極の愛を描くことが多いキム監督。

今回も

「6歳の少女をさらって漁船に幽閉、10年超の月日を経て17歳の誕生日に結婚する」

ことを楽しみに日々を過ごす老人の話。

こんなことは、いうまでもなく明らかに犯罪である。

そして、始めは従順だった少女も釣り客から世間を教えられ、徐々に老人に対する反発を覚え、一度は船を出ようとさえする。こちらも、当然そういう展開を想像していた。

しかし、そこからがキム・ギドクマジック。

後半、老人の覚悟のほどを観客・そして少女はまざまざと見せつけられる。

そこには、ちっぽけな「モラル」とか「常識」を超える愛をかいま見た気がした。

主人公たちにセリフはほとんどない。そのかわり、きっちりと映像で「映画の魅力」を余すところなく伝えてくれる、良作。

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2007/04/01

パフューム

パフューム(★★★★☆)@バルト9

本日は映画の日で1000円。全然気づかなくて危うく前売券を買うところだった。

k-tanakaくんと待ち合わせ。映画の日ということで激混み。開映時間を過ぎてやっと入場。

お初のバルト9は都営新宿線の新宿三丁目駅出口目の前にあって、家から一番近い映画館。徒歩だと15分くらいかな。座席は背もたれが高くてしっかりした造りで、かなり快適。会員制とかは特になし。

さて、映画の方はというと…

18世紀のフランス、美女連続殺人犯が死刑を宣告されるところで始まる。主人公がなぜ美女を殺し続けるにいたったかを、生い立ちから描く。魚市場で魚を血まみれになりながら解体するシーンとか、ウジのドアップとか、前半はゲテでグロなシーンが連発。

後半、類まれな嗅覚を持った彼が香水を作り始め、その魅力にはまっていくあたりからはうって変わって貴族の優美な生活模様が描かれる。そして、究極の香水を求める彼は…。

前後半のギャップを楽しみつつ、いよいよ彼が最後の殺人を、というシーン、あまりの設定のぶっ飛び具合にk-tanakaくん、みっちゃんともども大笑い。

さらにクライマックスの処刑シーンも、笑えた~。

なぜか?は、ぜひ劇場で。

ラストはちょっと不満が残るものの、グロかと思えば優雅に、サスペンスかと思えばお笑いで、と観客をいい意味で裏切ってくれた、よい映画だと思う。

ダスティン・ホフマン、おいしい役だったなあ。

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2007/03/31

ブラックブック

ブラックブック(★★★★☆)@テアトルタイムズスクエア

Club C会員証を提示したところ、自分だけでなく同伴者みっちゃんも割引で1000円に。HPや規約には同伴者も割引とは明記されていないものの、現場でそう運用しているのかな?

「ロボコップ」「トータルリコール」「氷の微笑」「スターシップトルーパーズ」などで知られるヴァーホーベン監督が祖国オランダに戻って制作した第二次大戦もの。大戦末期の1944年、オランダ在住のユダヤ人女性主人公が再会したばかりの家族をナチに皆殺しされる。彼女は命からがら逃げ出してレジスタンスに合流、仲間を助けるためにスパイとしてナチに潜入する。彼女の命がけの行為は、しかし…。

ナチとレジスタンスそれぞれが敵にスパイを潜入、さらにどちらの組織も一枚岩ではなく誰が味方で誰が敵なのかわからない状況。そんな疑心暗鬼の中、様々な流血の事態が発生し、また禁断の愛も生まれていく。

ヴァーホーベン監督お得意の残虐&お色気&お下劣シーンも健在。彼にとってそれが人が抱え続ける「業」ということか。

あまりにたくさん関係者が死んでいくのでラストあたりはちょっとつらくなるが、それが戦争というものなのだろう。

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2007/02/18

硫黄島からの手紙

硫黄島からの手紙(★★★★★) @TOHOシネマズ六本木

傑作、必見。

内田樹もblogで書いていたけれど、

「なぜ日本人ではなく、外国人であるクリント・イーストウッドがこの映画を撮ることができたのか」

という点については非常に口惜しいけれど、それでも本当にすばらしい作品。まだ日本でも上映されているので、ぜひ見て欲しい。

「ミスティック・リバー」、「ミリオンダラー・ベイビー」、「父親達の星条旗」、そしてこの「硫黄島からの手紙」。

クリント・イーストウッドはどこまでハイレベルの傑作を発表し続けるのだろうか。もはや「巨匠」と言ってさしつかえないこの偉大な監督は、撮影時のコミュニケーションの問題が避けられない「外国語映画」でここまでの作品を撮りきってしまった。

再び(不正確ながら)内田樹の言葉を借りると、

「戦争を、冷徹なまでに克明に、おのおのの戦闘シーンをその細部に至るまで描ききること」

それにまさる鎮魂は無く、それにまさる反戦メッセージは無い。

戦争の残酷さと無意味さを痛感させられる名作。

それぞれの役者の演技もすばらしく、特に各所で話題になっている通り、西郷役の二宮和也が良かった。

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The Pursuit of Happyness

The Pursuit of Happyness(邦題:幸せのちから)★★★☆☆@ Skycity Queen St. 日本でも公開中

売れないセールスマンのクリス(ウイル・スミス)。彼は、家賃を払うこともできないくらいの貧乏な生活から脱出するため、一念発起して株の仲買人をめざし無給のブローカー養成講座に参加する。その間6ヶ月収入はなく、妻の別居、アパートの退去、さらにモーテルからも退去させられてホームレス施設に身を寄せるまでに落ちぶれる。全財産わずか21ドル。そんなどん底の生活でも、彼は希望を捨てず、一心不乱になってトップで合格し採用されることを目指す。

アメリカはほんの少数の成功者と多数の落伍者から成り立っている。映画に描かれるその大きな格差(しかも彼らは同じ都市に隣り合わせに暮らしている)は、普通なら革命が起きてもおかしくないと思われるほどだ。しかし、この映画にあるような「敗者復活」があるから、人々は希望を捨てず、何とか社会が機能している。

ホームレスにまで落ちぶれた主人公クリスが、決してあきらめることなく自力で

「成功をつかみ取る」

姿は、まさしくアメリカン・ドリームを体現していて、ある意味すがすがしい。

しかし、その陰にある、多くの「はい上がれない人たち」を捨象していることは、心にとめておくべきだと強く思う。幸せの果実を少数で独占することと、ある程度のフリーライダーを覚悟の上でできるだけ多数で分け合うこと。できれば日本は後者に重点を置いて欲しいと思うのだけど。

ちなみに原題の"Happyness"はもちろん"Happiness"が正しいつづりなのだけど、こうなっている理由は映画を見てもらえればわかる。

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2007/01/02

クイーン

2006年最後の映画は、大晦日に見たThe Queen(★★★☆☆)@ Skycity Queen St 日本公開は2007年4月

1997年のダイアナ死亡事故の前後の、クイーン・エリザベス2世の生き様を克明に描く。

俳優たちは本当に名演。言葉ではなく目線や細かな立ち居振る舞いで、見事に感情を表現している。

ダイアナ王妃死亡事件ではからずも露呈した、イギリス王室に対する国民の見方の変化と、それにとまどう女王を子細に描くことは、イギリス国民や英連邦の人たちには大きな意味があるのだろう。けれど、正直なところちょっと「自分には遠いなあ」と思えた。

彼女が自分で車を運転するということは、ちょっとびっくり。第二次大戦時には軍用車の整備もしてたらしいし、かなり行動的な人みたい。

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ホリディ

The Holiday(★★★★☆) @ Skycity Queen St 日本では2007年3月24日公開

キャメロン・ディアスとケイト・ウインスレット、ジュード・ロウとジャック・ブラックが演じるラブストーリー。

欧米では、Home Exchangeというサービスが普及している。これは、長期休暇を安く上げるためにお互いの家に泊まる、というもの。会員登録をし、会費を払うと休暇の期間、場所の登録・検索ができ、マッチングした相手がいれば、詳細を調整する。確かに宿泊代はまるまる浮くし、ついでに留守宅のセキュリティも確保できる、というメリットもある。貸す人を信頼できるか、という課題はあるものの、そこはお互いに貸し合うことで担保している。

ちなみにうちの前の家のオーナーも、これを使ってヨーロッパを4ヶ月格安で回ってきた。

例えばこんな感じ。home exchangeでググるとたくさん出てくる。

Homexchange.com

Home Xchange Vacation

SWAPEO

これって日本でも流行るかも。ただ、日本人は休暇が短いから、そこのバランス調整が難しいかな。

このホーム・エクスチェンジを利用して、キャメロン・ディアス@LAとケイト・ウインスレット@ロンドン郊外がクリスマス休暇の2週間お互いの家を交換し、そこで芽生えた愛を描く。というわけで、ストーリーはラブコメの王道を踏襲。ありえねー、という偶然やシチュエーションが続くけど、それはそれ。最後まで安心して見ていられる。

ケイト・ウインスレットのハジけっぷりがヨイ。例えると、松たか子の有頂天ホテルでの演技のよう。

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マリー・アントワネット

Marie Antoinette(★★☆☆☆)@RIALTO これまた無料招待 日本公開は2007年1月20日から

ソフィア・コッポラがたくさん予算をもらって、好き勝手に歴史物を撮った。以上。

と終わらせるのもナニなので…

14歳で結婚し、18歳で即位したマリー・アントワネット。彼女を徹底的に「女の子」として撮っている。ケーキを食べあさり、シャンパンをがぶ飲みし、義父の愛人のうわさ話で盛り上がり、仮面舞踏会でイケメンと出会い、宮殿で友人達とオール。待望の子供が生まれてからは一転緑と動物に囲まれたエコな生活を過ごす。でも時には不倫したりして…。

キャスト、セットに湯水のごとく金を使い、「女の子」を撮るというのは、どうかなあと個人的に思う。ムダじゃない?

唯一あるとしたら、彼女が非常に孤独な存在だったことを浮かび上がらせてくれたことくらいか。朝起きてから夜寝るまで、着替え、食事、入浴からセックスにいたるまで全てが決められた作法に則り、誰かが監視している。そんな監獄のような生活に嫌気がさして、彼女は蕩尽を続けたのかもしれない。

演技で言うと、キルスティン・ダンスト自体は悪くない。ただし、ティーンエイジャーを演じるのはかなり無理があったのでは?

また、大量の靴を試しまくるシーンで、コンバースが映っていたのはご愛敬。

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敬愛なるベートーヴェン

Copying Beethoven(★★★★☆)@RIALTO 無料招待 日本でも公開中

耳が聞こえなくなっていた晩年のベートーベン。第九の作曲のために依頼していた写譜師が女性ということに最初は腹を立てたものの、彼女のたぐいまれな音感に気づいてからは不承不承ながらも彼女を受け入れるようになった。

無事第九は完成し、演奏会ではベートーベン本人が指揮をすることになった。しかし、彼には耳が聞こえないという大きなハンデがあり、そのためにこれまでも演奏会を台無しにした前科も。アンナは観客席で見るつもりだったが、急遽ベートーベンに呼び出され…。

奇矯な言動で知られたベートーベン(エド・ハリス)、彼の生活を困窮させる原因となった甥カール、天才的な音楽家としての才能あふれる主人公アンナ(ダイアン・クルーガー)。建築家でアンナの婚約者マルティン。

これら登場人物が生き生きと描かれ、ストーリーを盛り上げる。特にエド・ハリスとダイアンは指揮やピアノ演奏での名演を披露する。彼らの稽古がどれほど大変だったのか想像に難くない。拍手。

ほぼ聞こえないはずのベートーベンが時々普通に会話したりしているけど、それはご愛敬ということで。

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