2005/07/29

長い道

帰り道に本屋に立ち寄ると、

こうの史代「長い道」

みなもと太郎「風雲児たち幕末編7」

南Q太「スクナヒコ3」

と、好きなコミックが3冊も出ていた。早速買って帰り、すぐ読む。

「長い道」は、ほのぼの系夫婦まんが、に分類できるのだろうけれど、その視線のやさしさ、ふところの深さは類書を大きく引き離す。

主人公「道」の徹底した寛容さに、夫を始めとする周囲の人はあきれつつ結局彼女のペースに巻き込まれていく。

「赦すこと」

は、決して「弱さ」ではなく、むしろ「強さ」であることを、痛感。

こうの史代、あなどれじ。

でも、そんな深読みしなくても、単純に「おもろい夫婦」の話としても楽しめるのだけど。

「風雲児たち7」はいつもの通り。ペリー来航以降、やっと幕末らしくなってきた。でも龍馬暗殺のラストまで、あと何年かかるのかなあ(笑)。

「スクナヒコ3」はこれから。

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2005/07/23

うつくしいのはら

昨日発売になった、ビックコミックスペリオールのセンターカラーに

うつくしいのはら  -[PLUTO]によせて-

という西原理恵子の作品が掲載されている。

元々、このスペリオールの連載で、「浦沢版PLUTO」をいつものようにこき下ろしたら、

「じゃあ、自分で書いてみろ」

という事になり、何度かおきまりのギャグで逃げをうった後、満を持して「西原版PLUTO」の掲載となった。

すばらしい

掛け値なしの傑作。わずか12ページの作品なので立ち読みも出来るけど、下手したらコンビニの棚の前で号泣してしまうことになるので、買うことを強くオススメする。

原作に描かれた悲劇の本質部分を見事に抽出し、サイバラワールドで展開、読む人の心を強く打つ。

内容は詳しく説明しない。いいから、読むべし。

ところで、サイバラはとりあたまHPの説明によると今後3ヶ月ほど、いくつかの連載を

「体調不良のため」

休載することになっている。

アヤしい。以前同じ理由で休載したときは、

「産休」

だった。今度もそうなのでは?

としたら、カモと離婚した今、タネは誰?

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2005/02/06

ザ・ムーン

せっかく、ぼくらのを読み始めたので、元ネタのザ・ムーンをヤフオクで入手し、早速読む。

う~ん。やっぱジョージ秋山、ぶっ飛んでるわ。

2兆5千億円をかけて魔魔男爵が作った究極のロボット、ザ・ムーン。その行動は、純粋な心を持つ9人の少年少女の意志に全てゆだねられている。

そして、現れる敵は

1.四国に水爆を落とすことにより、核兵器の脅威を全世界に知らしめようとする連合正義軍
2.いろんなとこにやたらとクギを打ち付ける、湖の底の財宝を手に入れようとする少年
3.しいたげられた老人たちを救おうとするマッド・サイエンティスト
4.犬の顔をした宇宙人

なんじゃこりゃ~

その正当性には疑問符はつくものの、どの敵も自分たちを正義と考えて行動していて、少年達はその論理に対して反論しつつ戦っていく。ただし、第4話はかなりストーリーとして破綻していて、伏線を広げたけど収拾がつかなくなって最後自爆した、という感じ。まあそういうところは彼らしいのだけれど。

笑ったのは、連合正義軍はみな同じ仮面をかぶり、ハーレーに乗っているのだけど、その集団走行シーンを全部コピーの切り貼りですませているところ。なかなかシュールでし。

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2005/02/03

ぼくらの

あることがきっかけで、最近いくつかの書店のマンガ棚を久々にじっくり眺めている。

お店ごとにプッシュしている作家が違い、それぞれの個性が出て面白い。その中で、いくつかの書店で平積みになっていた作品を買ってみた。

ぼくらの1,2巻(鬼頭莫宏:小学館)

コミックビームと並び、今新しい波を起こせる希有なコミック誌、IKKIに連載中。

ザ・ムーンという旧作がある。作家はジョージ秋山。ロボットものが流行した72-73年に少年サンデーに連載されたが、その内容はかなり異色。9人の少年少女が力を合わせて一体のロボット「ザ・ムーン」を操縦し、敵を倒していくのだけど、9人の心が一つになっていないとザ・ムーンは動かない。一人でも欠けているとダメ。なので、敵も男子一人の気をそごうと、彼にかわいい子をあてがったりとかしている。敵方も明確な悪者ではなく、「正義」を標榜するあたりが先進的。ラストは衝撃的で、読み終わったときに呆然としたことを覚えている。

「ぼくらの」は、この異色作「ザ・ムーン」を下敷きにしている。14人の少年少女が巨大ロボットを操縦すること、そのロボットの名前が「ジアス(ジ・アースの意)」ということ、そして、ロボットの顔面にあるスリットのランプが一人一人を表していること、など。

しかし、決定的に違うことがある。それは、ザ・ムーンが9人全員で力を合わせて操縦したのに対し、ジアスはその中の一人が毎回選ばれて操縦すること。(次回は必ず別人が操縦する)。そして、ザ・ムーンが果てしない敵と戦わなければならなかったのに対し、ジアスは最初にルールが決められており、全部で15体の敵を倒せばゲーム終了となるということだ。どちらも現代的といえばきわめて現代的な違いではある。

この作品は、単なる戦闘ものでは、全くない。

子供達にはあまりに過酷なルールが適用されており、彼らはいやが応にも「生と死」に直面させられる。
そして、彼らは地球を、友を、家族を命がけで守るということがどういう意味を持つのか、真剣に悩み、考え、彼らなりの結論を出して戦いの場に臨む。その結果、戦闘終了後の悲劇はつらく、胸が痛む。

今のままでも、かなりレベルの高い作品なんだけど、このままの流れでストーリーは進みはしない。だってそれでは悲劇的すぎるから。途中で「理不尽な本当の敵との戦い」に発展するに違いない。そのとき、この作品は単なる良い作品から傑作になると予感している。

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2005/01/14

風邪~

昨日ゆっくり休んだものの、起きたらまだ風邪が抜けていない。電話して午前のミーティングキャンセル。とはいっても出なきゃいけない会議も目白押しなので、午後3時に出社。8時過ぎ終了、即帰宅。

途中本日発売の、のだめ11巻を購入、早速車中で読む。のだめ、がんばれ~。

三軒茶屋の「香や」でいつものチャーシューメン、さらに味付玉子とごはん。ごはんがラストでちょっと堅くなっていたみたいで、サービスしてくれた。ありがと。

明日も仕事あるし、これ書いたらもう寝ようっと。

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2004/12/28

あのころ、白く溶けてく

安永知澄は、いい。

今年読んだコミックで最大の収穫は、もちろん夕凪の街 桜の国。それ以外にもすばらしい作品はいくつかあったけど、新人賞をあげるとしたら、やっぱり安永知澄かな。コミックビーム掲載中の連作、やさしいからだは毎月読むのが楽しみになっているし、さらに初の短編集あのころ、白く溶けてくも最近発売。

掲載作のうち、デビューのきっかけともなった「白い本」という作品は、その名の通り、自分の居場所を見つけられない17歳の主人公が、心のもやもやをふっきるきっかけを作った「白い本」についての話。内に秘めた狂気の描写と、新人ばなれした見事などんでん返しに感心する。

一番好きなのは、巻頭の「夏休み」かな。著者も広島県出身らしく、こなれた広島弁がここちいい。

やさしいからだも、夕凪の街 桜の国と同様に、何度も読み返さないと細部まできちんと理解できない、難易度の高いコミックではある。でも、こーいうマンガが売れるようになれば、日本人の読解力も上がるのでは。

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2004/12/12

ジパング

ふたりにクギづけを見た後、ふと思い立って夜11時から三軒茶屋のマンキでジパング1-16巻を通して読む。2時半読了。ねむ~。

モーニングを毎週木曜朝買って、いつもは新聞を読む通勤時間にいの一番にこの「ジパング」を読んでいる。それくらい楽しみにしているコミック。今回ちゃんと通して読んで、草加の意図の全貌が見えてきた。

1.ガダルカナル、ラバウル、ニューギニア、アッツ・キスカ、そしてトラックなど膨張しすぎた戦線の縮小と兵力の温存
2.満州国皇帝暗殺により意図的な騒乱状態を作り、中国本土からの陸軍撤兵、さらに戦力の空白状態が生じたことによる国共合作の瓦解。加えて「満州に石油が出た」という情報を流すことにより経済界からの圧力を得ようとする。
3.ヒトラー暗殺によるドイツ帝国崩壊(これは失敗)
4.インド攻撃による、援蒋ルートの分断とインド独立運動の激化。これによりイギリスの戦力がそがれ、アメリカへ日本攻撃を早期化するよう要請
5.アメリカは、イギリスの催促もあり、十分に戦力が整わないままやむを得ずサイパン沖で洋上決戦、「みらい」の全面的サポートによる日本の勝利

しかし、これでもアメリカと講和を結ぶのは難しいと彼は思っており、

原爆製造、アメリカ合衆国への投下

という最終手段を使うことによってこの戦争を終わらせようとしている。

こういった、各国を巻き込んで日本に有利な流れに持っていこうとする世界戦略的行動はたいしたもの。もう一つの魅力として、最初は専守防衛を呪文のように唱えていた艦員たちが、度重なる仲間の死や悲惨な戦闘を乗り越えていくうちに、兵士となっていくさまは、非常に説得力がある。

ただし、お願いだからこういう争いごとは、お話の中にしておいてもらいたいのお。

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2004/11/29

上京ものがたり

西原理恵子の新作、上京ものがたりを読む。

1話わずか1ページ、計53話の自伝的コミック。彼女が高知から上京した直後の頃を描く。

「ぼくんち」ほかのヒットを飛ばし、見事に豪邸を建てた後も、彼女はよく

「いつマンガで売れなくなるかわからないからね。そうなったら小料理屋でもやるか。」

とインタビューでおどけて言っていた。それは、この時期の彼女が、貧乏で服も買えず、ろくでもない男と同棲し、歌舞伎町のパブに毎日通うという、先の全く見えない生活を長くしたからということが、よくわかった。作品の中で

「私は本当はただ長い夢を見てるんじゃないかと、いまだに思う。」

とも書いている。多分サイバラは、どうせ夢なんだから、と今の地位やステイタスを失うことを恐れていない。このあたりのカクゴの深さが、くらたまを始めとする、あまたのえせサイバラとは一線を画すところなんだろう。

「ぼくんち」以来、久々に堪能した叙情系作品だったのでした。次はぜひ、フィクションで。

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2004/11/22

プラスチック解体高校

プラスチック解体高校全2巻(日本橋ヨヲコ:講談社ヤンマガKCスペシャル)

同僚のわこオススメ。日本橋ヨヲコはIKKI連載のG戦場ヘブンズドアは途中まで読んでいて、「ストーリーのつくりがうまいなあ」と思っていた。単行本としては初めて読む。

友情学園モノと一言でいってしまえる内容なんだけど、ひとくせもふたくせもある登場人物が、いろんな事件をきっかけに徐々にまとまっていき、固い友情を結ばせる。優秀な兄と劣等生の弟の葛藤、生徒会長の姉と学年トップの秀才弟との秘めごと、裏口入学、内申書操作、母親の浮気といったスパイスをきかせつつ、2巻できちんとまとめている。やっぱりストーリー作りうまいわ。

途中で読まなくなったG戦場ヘブンズドア、マンキで読んでみようかな。

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2004/09/12

ペリカンロード2

2っていっても、そもそも「ペリカンロード」なるコミックを知っている人がどれだけいるか不安なので、ちょっと解説。

週刊コミック誌、少年キングが部数低迷のため隔週刊の「少年KING」として衣替えしたのが1983年8月。その創刊号から連載されたのが、この作品の元になる「ペリカンロード」。

勉強一筋だった高校生の憲一が、バイクに目覚め、そこから生まれた友情をはぐくみ、グループ間の争いを経験し、悩みながらも成長するさまを描いた作品。主人公とほぼ同年齢、かつスタート当初は寮生活でバイクなんぞともってのほか、という環境もあり、かなり感情移入して読んだ。

その続編としてキングダムに最近まで連載されていたのが、このペリカンロード2 f the alternative。"f"とは、FHH(フェルトヘルンハレ)という、「1」で活躍した走り専門のグループ。「2」では、このFHHのその後を描く。ただし、今回も一応の主人公は男子高校生の冬馬(トーマ)。おじの雅美の事故死をきっかけにバイクから遠ざかっていたが、親友清純(キヨ)がFHHのうわさを耳にし、その姿を追うようになってから、トーマもまたバイクの世界に戻っていく。そこに同級生和美(オカズ)、FHHから派生したグループ「ザウ」を率いるエリカと滝川、その黒幕の暴力団員柴田、そしてFHHの残党たちらがからむ。

完結第5巻を読み、さらに1-5巻を通しで読んで、やっとこさ全体像を理解。そもそもあまり説明的なカットが無くどんどん話が進んでいく、登場人物が多くそれぞれの関係を把握するのに時間がかかる、さらにこの「2」では過去の回想が順次カットバックされてくるので、一読しただけではなかなかわかりにくくなっている。

「1」と比べると、暴力、ドラッグ、そして死が頻繁に出てくる。それだけ血なまぐさいことが高校生が主人公のコミックでもリアリティを持ってしまうというのが、「1」連載から20年後の現実ということなのだろう。

作者の五十嵐浩一は、主にキング系(少年画報社)で活躍している。他にも何作品かあるのだけど、やはりバイクを扱うこの2作品が代表作。個人的に堪能させてもらいました。

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2004/08/09

運び屋ケン

k-tanakaさん謹製、のだめカンタービレアンソロジーを聴きながら。

3週間ぶりに行った神保町の高岡書店で、気になる漫画家の一人、”深谷陽”作で既に絶版になっていた「運び屋ケン」がマンガショップより上下巻で復刊されていたのを見つけた。

オリジナルのオールマンSC全4巻は既に持っているので、どうしようかと思ったんだけど、単行本未収録作品が7本、書き下ろし1本が入っていたので購入。でもA4かつ400ページ超とはいえ、定価1890円は高いぞ。追加部分はすぐ読了。ま、楽しめたかな。

深谷陽には、個人的にはぜひロード・ムービーならぬロード・コミックの「アキオ紀行」続編を書いてもらいたいんだけど、本人の志向(もしくは編集部の方針)は「神秘の島バリ」での幻想的なお話だったりするので、そのあたりがちと残念。

このマンガショップを運営しているのは、パン・ローリングという株式投資に関するセミナー、書籍出版などをしている会社。どうやら副業として参入したみたい。高価格の復刊本というのは、一定のニーズがあるので悪くない商売とは思うんだけど、漫画家のセレクトが深谷陽、桑田次郎というのはほとんど脈絡が無く、ポリシーが感じられない。正直続けていくのは厳しそう。マンガは大手がほぼその収益を独占していて、そんなにおいしい商売じゃないよ。

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2004/07/20

やさしいからだ

コミックビームは出版社がそういう会社ということもあって、ヲタなマイナーコミック誌と軽く見ていた。しかし、しおぴー的に今年2番目のスマッシュヒット、「少年少女」(福島聡)の連載や、唐沢なをき、鈴木みその、お下劣コンビ、そしてこれが処女作となる安永知澄のやさしいからだ。さらに今月からは福島聡のSF新連載も始まり、目が離せなくなってきた。定期購読するかの。

この作品も、やはりひとりで勝手にマンガ夜話掲載されていたのを読んでの購入。いつも感謝しております。

少しずつエピソードが重なる6人の日常を淡々と描いているこの作品は、実はかなり読者を選ぶ。福島聡もその傾向があるけれど、難易度はこちらの方が断然高い。まるで小津や初期の北野武の映画のように、普通ならあるべき説明は省略され、読者はほんのわずかなヒントによって作品の背景を類推しなければいけない。

例えば第4話「小島さき(後編)」では、主人公のさきが唐突に長かった髪をばっさりと切る。もちろんそれには理由があるのだけれど、明示的には全く書かれていない。入院中の母から発せられる(病の?)匂い、友人がさきに言った「(さきって)なんかキレーなにおい」というセリフ、入院中の老人の「うん?なんの花かな?」という匂いを感じさせる一言、そしてさきが髪を乾かしている時の「あたしの髪からだ」という自覚、それらの断片を総合して、

けなげに母を看護し、いい娘を演じている自分と、それを内心いやだと思っている自分。
かいがいしく家事を手伝ってくれるおばに対する、母娘の中に割って入ってくる夾雑物という、うとましい思い。
そんな心の底にしまっていた気持ちが明らかになってしまい、彼女は匂い(=いやな気持ち)の元凶だった自分の髪を切る。

これでもまだ実は読み切ってはいないのだけれど、こんなレベルの高い読み込みが必要になるこの作品、侮れません。誰か第7話で秀子が吉田にマッチを使って何をしたのか、教えてくれないっすか。

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