ニュージーランド経済

今年のアメリカ経済は?

直前の2冊を含め、最近読んだ経済関連本から導き出した2009年世界経済予想

今回の金融危機も2008年9月リーマン破綻後は典型的な「流動性危機」となり、それが今も続いている。年を越えてこれでおしまいかというとそうではなく、これから担保価値下落による銀行・企業の「返済能力問題」の方がクローズアップされる。結果倒れる(もしくは倒れそうな)銀行が出てくれば、再度「流動性危機」が発生する。この2つがスパイラルになって世界景気を悪化させていく。

負の連鎖を食い止めるには「流動性危機」が発生しないことを宣言すればいい。債権者が少なければこの本で提案されているような「ベイル・イン(債権者合意による債務棒引き)」だろうし、それが不可能なら政府(もしくは世界銀行・IMF)による無制限の流動性供給、もしくはぐっちーさんが言い続けている「銀行間債務の政府保証」となる。
#もちろんこんなことを平時にやることはありえず、非常時には非常の対応が必要ということだろう。

守る銀行とそうでない銀行の峻別、それに伴うモラルハザードが発生するのは避けられないが、やらないと危機の連鎖は止まらない。

そうやって「流動性危機」を回避していれば不良債権処理が進み、地価が落ち着きを取り戻せば景気は回復するのだろうか。

そう単純ではないだろう。特に震源地アメリカをみれば金融が全利益の40%を占める状態から修正を余儀なくされるだろうし、家計での大幅な支出超過状態も強制的に是正されるはず。GDPの70%を占める消費支出が減少し、金融という稼ぎ頭がなくなれば、アメリカ経済は相当な落ち込みが予想される。

これまでIT、金融、そして地価というバブルで何とかしのいできたけれど、そのバブル自体を制限されてしまうとなると打つ手は限られる。時折噂に出てくるグリーンバブル???

アメリカは地道に新しい産業を興し、レバレッジを抑えても着実に成長するという「まっとうな国」へと変遷するか、それとも「覇権国」から脱落し、「帝国の落日」を迎えるのか、の岐路に立っている。

ただし、以上はどちらに転んでも比較的楽観的なシナリオ。最悪なのは流動性(=ドル紙幣)供給が行き過ぎ、アメリカドルの信用が失墜、インフレ、ドル大幅切り下げ、世界同時恐慌へ転落すること。

「ナイトの不確実性」からみても、現状のFRBの金のばらまき方は既に「不確実性」領域に入っていると思われ、これが無事通常状態に回帰するか、それとも臨界点を超え未曾有の恐慌におちいるのか、結果は神のみぞ知る、というところか。

まとめると

1.ソフトランディング・米覇権維持
2.ソフトランディング・米覇権徐々に凋落
3.ハードランディング・米没落

シナリオ2が70%、1が20%、3が10%と予想。

2は一番蓋然性が高い。1になるためにはアメリカは相当努力して経済を転回させる必要がある。(そのポテンシャルはあるし、オバマにはそれを実行する能力もあるとは思うが難易度がむちゃ高い)3の値が低いのは、「希望的観測」として低くしているというのが正直なところ。本日勃発したイスラエルのガザ地上戦がさらに他国を巻き込んだ中東戦争へと発展すれば、この可能性が高くなる。

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ワークビザ発給・継続が厳しくなる?

Kiwis not migrants to get jobs - Clark stuff.co.nz
 2008/11/03

<移民ではなく、キウィに仕事を -クラーク首相>

クラーク首相が

「直近1年間で18万件発給してきたワークビザについて延長を控え、その分浮いた仕事をキウィに回す」

と明言したとのこと。

ただし、

「毎年4.5から5.5万人の永住権取得者については、その数を維持する」

とも述べていて、あくまで景気悪化による短期的なキウィの仕事確保のための措置としている。

以前暮らしていたシンガポールも海外から働きに来る人が多かったが、冷徹なまでに景気の調整弁として使われていた。少しでも景気が悪くなると、それまでは何の問題もなく継続していたワークビザがいきなり打ち切られる、ということが自分の身の回りでも発生していた。

ニュージーランドでは特に技術系と「手に職」現業系は恒常的に人材不足なので「必要な移民」は今でもウエルカム。でも、「キウィで代替のきく」程度のテンポラリな人材は「今はお引き取りください」ということになる。

しかし、永住権を取得する際に、いったんワークビザを取って何年か働き、それから永住権申請というのもよくある話なので、そのルートが細くなってしまうというのは正直厳しい状況に思える。

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NZドル50円割れ、日経平均7600円台

さて、日本からお友達を迎えて楽しんでいる間に為替、株式相場はさらに激動し、為替は1NZドル50円を一時割れ、株式はバブル崩壊後最安値まであと少しのところまで下落。

日本では「今がチャンス」ということで、外貨への両替と新規株式口座開設が激増しているとのこと。

以下、自戒も込めて。

あまたの投資関連blogでも書かれているけれど、今は「正真正銘の」異常事態なので

「値ごろ感で買ったら大やけどする」

ということは何度でも強調しておきたい。
#ここからさらに2-3割ダウンということもありえる、ということ。

ちなみにNZドル最安値は2000年10月に43円というのがあるし、株式の方もこれから実体経済悪化(ここまで円高が進めば輸出関連企業は本業がどれだけ好調でも相当厳しくなる。内需関連はあと少しの間は大丈夫だけど。)や金融機関の含み損激増(大和生命以外にも危ないところが出てきてもおかしくない)を考えると底抜けすることは十分ありえる。

金曜日にNY時間に為替と株式を交互にウオッチしていても、「NYダウが上がれば円安、ダウが下がれば円高」と完全に連動している。

今週が正念場(毎週そうな気もしているが:笑)。日経平均が底割れすることになればドル円、クロス円ともにさらなる下落を試すことになるのではないか。

あとはドル防衛のための為替介入があるか、という点。ただし、クロス円については日本政府は大義名分もやりようもないので、伝家の宝刀「協調介入」が抜かれるかどうかにかかってくる。といっても介入の効果は一時的で元の木阿弥となる可能性が高いとも思っているのだけど。

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乱気流にご注意ください

仕事がつまって2日blogを更新しないうちに、なんとNZドルは57円まで下がってしまった。そんな数字、いつかはありうると思っていたけど、こんなにすぐ実現するなんて夢にも思っていなかった。

現在は60円。

これでもNZに来た時点(80円)より25%ダウン。

NZドルがダウントレンドなのはある程度読めていたので、両替は控えめにしていたのだけど、ギリギリまで

「日本円で持っていればよかった」

のも確か。為替差損**万円です(笑)

ちなみにFXやってる日本人は「円売りNZドル買い」が9割以上なので、すごい状況になっている。くりっく365(取引所為替証拠品取引)の買建玉はピーク時の1/4以下に激減。つまり3/4はマーケットからの離脱を余儀なくされたという阿鼻叫喚。

今回の金融危機は"Financial Crisis"と言われることが多いけど、

"Financial Turbulence"

という言い方が状況がイメージしやすく個人的には気に入っている。(なんていうと語弊があるかな)

この状況はまだしばらく続くと思うので、みなさんシートベルトを締めたうえで

「乱気流にご注意ください」

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「金融安定化法案」可決

いろいろ紆余曲折あったけれど、一応先ほど「金融安定化法案」が米下院で可決。

7000億円の対策費に加え、1500億円規模の減税をセットにしてやっと成立、というのは

「有権者へのアメ」

が必要なのは日米変わりないということか。

しかし、今週「可決織り込み」状態だったというのにNYダウが下落したのは

「この法案だけじゃダメかも」

とマーケットが悲観しているからにほかならず、実際たぶんそう。

また、今週はヨーロッパのいくつかの銀行が国有化、公的管理下におかれ、ギリシャとアイルランドでは急きょ

「銀行預金は全額保護する」

との宣言が出された。
#これってあまり日本では話題になっていないけれど、かなりの非常事態だと思われ。特にアイルランドの方は、隣国イギリスから預金が大挙して集まっているという皮肉な状況。

フランス、イギリスもこの週末にも同調する(というかせざるを得ない。でないと預金がダダ漏れ…)とのこと。

要するに欧州では政府が

「預金は大丈夫」

と宣言しない限りみんな不安でしかたがない、ということ。

被害はアメリカと変わらない(というかもっとひどいかもしれない)けれど、対応はアメリカとは以下の点で異なってくると思う

メリット:国有化・公的管理下などパブリックセクターが介入することに対してそれほど抵抗がない
デメリット:強固なひとつの意思決定機関が存在しないため国ごとの対応になりがち

デメリットの方はうまく使えば

「雨降って地固まる」

になるけれど、強弱がはっきりするので

「おまえら足をひっぱるんじゃない」

と遠心力が働くということも考えられる。

というわけで、これからはアメリカだけではなくヨーロッパも要注目。
#現在1ユーロ145円。ここからさらにユーロ円ショートいっとく?

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新blogたちあげました

日々のできごとをつらつらと書いていくこのblogの中でお堅い経済の話をしていくのは違和感があると思ったので、経済関係ネタだけ切り出して新しいblogをたちあげました。過去の経済関連エントリーを移行しています。

今回はcocologではなく、ぐぐってみて評価の高かったf2cです。

ニュージーランド経済 outlook

本家「from オークランド, NZ」とあわせてごひいきのほどお願いします。

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フレディーマック・ファニーメイへの資本注入

ウオールストリートジャーナルが

「FRBと財務省がフレディーマック・ファニーメイへの資本注入を検討中」

と報じている。早ければこの週末(日本時間土曜夜、現地時間土曜朝)にも正式発表されるとのこと。

既定路線(というか、他の選択肢はありえない)だけど、思ったより早い印象。

普通に考えると

「今ですら多額の債務であっぷあっぷしているのに、さらにアメリカ政府が追加で借金(5兆ドル、約500兆円)を背負うことになる。本当にやっていけるのか?」

とドル売りになりそうなものだけど、

「悪材料出尽くし」

として逆にドル買いがおきる可能性もある。

「帝国の崩壊は徐々に、しかし確実に進む」

との見通しに立てば、この対策発表でいったんドル安がおさまるものの、あまりにひどい資産の毀損が徐々に明らかになり、断続的なドル安が長期にわたって続くではないか。そして、帝国は黄昏れていく。

ニュージーランド経済の先行きについても、基本的には同じ悲観的な見方をしている。

自分の考えるものさしは非常にシンプルで、

「普通の人が家を買えない状態」

である限り、バブルは崩壊して調整がなされなければいけない。

それは

1.インフレが急激に進行する
2.不動産価格が急落する

のどちらかであり、インフレターゲティングを政策の柱にしているここニュージーランドでは、2の蓋然性の方が高い。NZ Heraldでエコノミストの主張する「ピークから2~3割ダウン」ですめばいいけれど、日本のバブル崩壊では

住宅地:名目で半減
商業地:名目で1/4

まで下がっている。資産半減は覚悟しておいたほうがいい。

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NZドル一時70円割れ

今週は各通貨に対し全面的な円高となり、NZドルは一時70円を割れ、2年ぶりの低水準になった。

正直円が強くなる理由はない。普通政局になったら通貨が下がるのに、逆に高くなっているし。結局のところアメリカもヨーロッパも新興国もオセアニアも全部ダメで、日本が

「不美人投票の中で一番まし」

だから円が選ばれているだけ。

今回のNZドル安局面で、いつかは60円台になると思っていたけれど、予想以上に早いスピード。これからいったん調整が入るのか、底が抜けてさらに下がっていくのかは正直わからない。

ただ、この1年間くらいの長期的なレンジではもう少し下(60円台前半)を視野に入れているし、もしかしたら60円を割ることがあるのではと思っている。

1ドル94円という超NZドル高の頃からしか知らないMrs Watanabe(日本の奥様FXトレーダーの総称)は想像もできないかもしれないけれど、わずか8年前の2000年10月には1ドル44円を記録しているのだから、あながち無茶な予想じゃないんだけどね。

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ビッグスリーに緊急融資?

アメリカの自動車大手3社(GM、フォード、クライスラー)が政府に対し緊急融資を求めているとの報道があった。

ロイター

にわかには信じがたい話だけれど、それだけ今回の不況が深刻ということなんだろう。

銀行を救済する、というのであればまだ

「金融システミックリスクの回避」

という大義名分は立つけれど、いくら自動車産業が基幹産業かつこの3社は”Too Big to Fail”とはいえ、単なる事業会社がいかなる理由で救済されるのか不思議。

一度これをやってしまうと「救済する会社」と「しない会社」で恣意的な線引きがされたことになり、収拾がつかなくなるおそれがある。

フレディーマック、ファニーメイに対してすら、公的資金投入はそれが既定路線(というか他に選択肢はない)とはいえ、アメリカ人にとって抵抗が強いと聞く。

「緊急融資」と銘打ってはいるけれど、倒産してしまえば棄損することは資本注入と同じで、単に返済の優先順位が違うだけ。確かに融資の方が戻ってくる確率は高いけど、そもそもロクな担保は残っていないだろうから、同じことではないかと。はたして米国民はそんな「血税をドブに捨てる」行為に対して納得するのだろうか。

日本でも金融機関ではない事業会社に対し政府もしくは日銀が特別融資をしたという話は、寡聞にしてしらない。唯一65年の山一證券に対する日銀特融(証券会社も金融機関だけど)が記憶にあるくらい。

この話が本決まりになったとして、

「これでアメリカが不況から脱出できる」

とドルに対する信頼が高まるのか、それとも

「ここまでのことをしなければいけないほど不況が深刻なのか」

と逆に不信感がつのるのか。個人的には後者と思うのだけど、"Wisdom of Crowds"である市場がどう判断するかは、正直わからない。

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ミスリーディング

NZの不動産市況は苦しい状態が続いている。

今日のNZ Heraldの記事も如実にその苦境を示しているのだけど、正直見出しはミスリーディング。

Price is right for house hunters

「(不動産を底値で買おうと思っている)ハンターにとって今は値頃」

くらいの意味。

見出しの根拠になっているのはASB銀行の不動産購入希望者のマインド調査で、

”2-4月の調査に比べ、5-7月の調査では「これから値段が下がる(lower house prices on the horizon)」という割合が34%から55%に上昇した”(on the horizon: まもなく起こる)

というもの。これが「Price is right(今が値頃)」につながるかは正直疑問。

それ以外にあげられている事実を列挙すると

1. 2008年7月(以下同じ)のオークランド不動産平均取引価格は6月のそれに比べ$14000ドル、3.2%の下落

2. オークランド不動産取引件数は昨対41%の下落

3. 全国不動産取引件数は過去最高だった2003年対比で56%の下落

4. ここ1年、特に直近の半年で街の不動産屋が続々と閉鎖に追い込まれている

と、どこに「今が値頃」とつながる内容があるのだろう。

ここNZでも日本と同様に記事は記者が書き、タイトルは整理部(もしくはデスク)が書いていると思う。

となると、記者は正直に不動産不況の実情を伝えているのに、整理部は新聞の大きな収入源である「不動産広告」に配慮しているのではないか、と疑ってしまう。

まったく同じようなことがバブル崩壊時の日本でも起きた。新聞・住宅情報誌は地価がどんどん下がっていることは当然ながら事実として書いたが、同様に「そろそろ底値」というメッセージも出し続けていた。しかし、地価は10年以上にわたって下げ続け、これら記事を真に受けて不動産を高値で買った人はさぞつらい思いをしたのではないだろうか。

もちろんこれから不動産市況が急回復する可能性は否定しない。が、それはNZ国内において強力な政策(不当な価格維持ではなく、いったん底値まで急激に下げさせるという、およそ「国民受けしない」政策)が実施され、かつ世界の景況が劇的に回復するという二重にきびしい条件をクリアした時のみではないかと考えている。

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