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陽気な国オーストラリアの暗部を描く「残酷な楽園」降旗学

さて、日経ビジネスオンラインシネマ de 青春で相変わらず突っ走っている降旗学の「21世紀国際ノンフィクション大賞」優秀作を読んでみた。

「残酷な楽園 LIFE IS SHIT SANDWICH」小学館

アボリジニへの絶え間なく続く差別、イギリスによる地上核実験とその被爆者、ベトナム戦争徴兵忌避者・帰還兵とPTSD、そしてストリートキッズ…

あまり知られていないオーストラリアの暗部をえぐる。特にアボリジニに関する記述が多く、この本の半分近くを占める。

ここNZではヨーロッパからの移民たちは、先住民族マオリに対し多くの差別や偏見はあったものの、まがりなりにも対等な人間として扱ってきた。

しかし、隣国オーストラリアでは先住民アボリジニの文化水準が石器時代レベルだったこともあり、長い間「同じ人間」として扱われなかった。憲法にも国民として規定されず(人口調査対象外)、100年近く前まで「アボリジニ狩り」が横行し、それを防ぐために教会がミッションという名の収容所を設置し、彼らを隔離するということが「善きこと」とされていた。(それにより、アボリジニの親子の多くは離ればなれになり、肉親の存在を知らずに大人になる子供たちも多かった)

1967年に憲法改正が行われ、彼らはやっと国民として扱われるようになる。

しかし、アボリジニとオーストラリア人(アボリジニも今ではオーストラリア国民なのだから、これは対をなす言葉ではないはずなのだけれど、今でも彼ら同士はこう呼び合っている)の溝は深く、互いが互いを忌避し、無視するという「まだら模様」がオーストラリアでは定着してしまっている。

この本の前半ではそんなアボリジニの実態を克明に描く。国策映画「オーストラリア」のようにアボリジニをいたずらに賛美することなく、8割が言葉の問題などから仕事につけず生活保護を受け、その多くがアルコール依存症になってしまうことなど、彼ら自身の暗部を取り上げている。

加えて目新しかったのは、イギリスによる地上核実験にオーストラリアが砂漠を提供し、それにより軍人、アボリジニの被爆者が発生していた、ということ。また、ベトナム戦争にオーストラリアが参戦し、のべ5万人が兵役に就き、その7分の1がPTSDとなり、1997年この本の出版当時で2000人もの自殺者が出てしまったということ。これらの悲劇を被害者たちの証言を軸にきっちり描く。

全部で3章に別れ、1章が主にアボリジニについて、2章は主にベトナム戦争の徴兵忌避者・帰還兵についてそれぞれ5回分として掲載。ただ、3章がストリート・キッズについてなのだけど、この章だけ1回分しかなく、少し読み応えに欠ける。

副題となっている"LIFE IS SHIT SANDWICH"はプロローグでストリートキッズが発した言葉なので、本来これがメインとなってもおかしくはないはず。既に300ページの大部となっているので、ボリュームオーバーで打ち切ったのかもしれない。だとしたら続きが読みたいな。

ただしこの本、現在絶賛品切中。下記amazonでは中古品が8000円~とかいうバカみたいな値段で出ているけど、当然そんな値段で買うのはバカらしい。というわけで、図書館でがんばって探すか、ヤフオク(しおぴーは1500円+送料にて入手)が現実的かと。

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コメント

自殺したってせいぜい先進国の首脳が喜ぶくらいだと思う。国は領土の拡張や資源の確保のために戦争をやるんだから、戦わないと殺されるだけ。

投稿: レモン | 2010/04/30 21:31

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