デキルヤツノ条件 降旗学
日経ビジネスオンラインを時々読んでいる。
以前は日経ビジネスを購読していたので、プレミアム読者(笑)ということで本誌PDFなんかも読めたりしたのだけど、契約終了のため今は無料分だけしか読めない。それでも読みでのある記事がてんこもりで、無料で読まさせてもらってありがとう、といつも感謝している。
きっかけはシネマde青春という連載に目をとめたこと。かなり時代錯誤的なタイトルということもあったのだけど、読み始めるとこれが長い。スクロールかなりやって、さらにそれが10ページくらいある。400字づめ原稿用紙で100枚近く。新書の半分くらいの分量だそうな。
ちなみに他の記事はたいがい2,3ページ、多くて5ページくらい。それも1ページあたりの分量はもっと少ない。
これだけ長いこのコラム、実は映画についての話は前半まで。後半は「戯れ言」といって、映画とは全く関係のないエッセイが続く。
どれだけ書いても原稿料は1回分しかもらえないだろうに、この作者はなんてヒマなのか、費用対効果が計算できないほど頭が悪いのか、それとも書きたいことが山ほどあるのか、なんなんだろうと不思議に思った。
で、その「戯れ言」が面白い。偶然読んだのが編集者Yとのボケが延々と続く会話なのだけど、グルーヴ感があるというか、落語を聞いているような感じで楽しく読める。この「戯れ言」も読者の反応を含めかなり計算して書いているということがわかる。
さて、この作者は誰よ?と思い著者プロフィールを見ると
「降旗学」
とある。ぐぐってみたり、amazonで調べてみたりするとノンフィクションライターらしい。松坂大輔のノンフィクションとかも書いている。ついでに日経ビジネスオンラインで以前も連載していた。それが
というコラム。
これが面白かった。
この連載には著者のワナが無数にしかけられている。
#彼は「篩い:ふるい」と言っている
そもそもに
「デキルヤツノ条件」
というタイトルがワナ。このタイトルを見たら普通は
「デキルヤツになるにはXXしなきゃいけない。」
みたいなハウツー・マニュアル的内容がちりばめられると思うはず。
XXには「時間厳守」「積極的なメモとり」「広いネットワークを維持」「優しい上司を演じたり」など定型句が入ります。
しかし、見事にその期待を裏切り、話は脱線しまくってぱっと見にはどこが「デキルヤツノ条件」なの?という回が続く。
そして実際に自分の身に降りかかったトラブルを企業名込みで書き、読者を挑発する。もちろんコメントは派手に炎上。実際に編集部でもかなり問題になったらしい。
普通ならお詫びの一文でも出すか、最悪連載休止、もしくは「無かったこと」にして穏便な形で継続くらいだろう。しかし、その後の展開は予想を遙かに超えていた。
種明かしをするのもナニなので、ぜひ読んで欲しい。ただし、全30回、平均7ページとして合計200ページ、単行本2冊分は優に超える分量なので、覚悟のほどを。速読には自信のあるしおぴーも3日かかりました。あと、コメントも飛ばし飛ばしでいいのでちゃんと目を通しといてね。
「ウエブ連載」のメリットを計算に入れた著者のしたたかさに脱帽。
#当然大きなデメリットがあるのだけでど、それ(返り血を浴びること)は覚悟の上のこと。すごい勇気。
とりあえず、要ウオッチな作者ということで。
著者がものしたうちamazonで入手可能な本2冊。前者は日経ビジネスオンラインでも読むことができる。
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