「キャピタリズム マネーは踊る」アジテートだけの映画なら、もういらない
キャピタリズム マネーは踊る(★★★☆☆)@Rialto New Market 日本では09/12/5より順次公開
希代のアジテータ、マイケル・ムーア最新作。
昨今、サブプライム狂想曲を始めとする
「強欲な資本主義」
がアメリカではびこり、貧富の差が拡大、多くの中産階級が没落し、ワーキングプアもしくは失業者となった。
それを矯正するために「資本主義」そのものをもうヤメちまえ、というのが今回のネタ。
資本主義に欠陥があるのはその通り。でも、そうはいっても
「社会主義がクール」
とか
「コーポラティブ(協同組合)なら全てうまくいく」
というのはナイーブすぎる。
さらに、日本や欧米が「格差」という点で比較的マシというのは事実だろうけれど、
日本であれば自殺率世界最高レベルに象徴される「経済回って社会回らず」の状態だし、
欧州であればEU統合による民族主義の高まりからくる社会不安など、それぞれに問題を抱えている。
「最悪」から見れば「悪い」や「ボチボチ」はまだマシかもしれないけれど、それらは決して美化するべきものぢゃないでしょ。
もちろんそんなことはマイケル・ムーアは百も承知していて、しかしとりあえず現状を打破するために、欧州・日本を
「目に見える、目指すべき目標」
として美化したうえで描いているのだろう。でも、その手法が行きすぎるとちょっと鼻につく。
あと、オバマを「革命」の象徴として描いているところも、すごくナイーブな気がした。もちろん、彼は彼なりに努力をして「強欲な資本主義」を改善していくのだろうけれど、一直線に「社会主義」や「協同生産方式」には行かないに決まっている。
思い切り現状を否定するなら、合わせて「現実的な提案」もしてくれ~、という感じ。
ボウリング・フォー・コロンバインの時は「銃反対」をアジテートしつつ、きっちり映画としても成立していたのだけど、最近の作品は極端なカリカチュアライズだけが多少笑えるだけで、エンターテイメントとしてはイマイチ。
そう、「銃をなくせ」というのはアジテートだけで成立するけれど、「資本主義をなくせ」は代案無しでは成立しないし、そもそもそんなことは無理。現状改善を目指すなら、資本主義という「弱肉強食」の環境をいかに和らげ、「最大多数の最大幸福」を追求するか、というテクニカルな問題に焦点を当てるべき。
宮台真司風に言わせれば「カタルシスはあるけれど、出口(解決策)はない」作品
それでも、終了時には観客から拍手があった。Kiwiはアメリカ嫌いで知られているので、これだけ現状をアメリカをこき下ろしていれば溜飲が下がるということなんだろう。
あと、マイケル・ムーアが映画の度にどんどんデブっていた件については、今回一応歯止めがかかった様子。このまま行ったらどうなるのか心配していたので、その点はよかったよ(笑)
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)


最近のコメント